スターティングメンバー

スタメン

前半


ボールを持たずに相手を動かす~前プレス編~

この試合ポイントだったのは、仙台の非保持局面の整理だったのだと思う。
握ろうと意思を見せる清水に対して前プレスを仕掛けショートカウンターを仕掛けた。
といっても仙台は2トップから激しい前プレスを仕掛けるわけでは無く、
仙台の2トップは背中でボランチへのパスコースを消すポジションを取る。
それによって、清水のCBは大外へ出すしかなく大外へ展開。そこに仙台は激しくプレスをかけ奪う。
という設計だった。

前プレス

清水は2CBは余裕があるので、保持してビルドアップを試みるが中央は閉鎖されているので
大外に誘導。そこで奪われてショートカウンター。という感じ。
仙台にとって大事なのは、この奪った瞬間のピッチが発生している出来事であった。
奪った瞬間、清水は立ち位置を良い立ち位置をとれず。
そして、仙台は良い立ち位置をとっている。という状況が出来上がる。
これは、本来仙台が保持してパスを繋いで相手を動かし自分たちは良い立ち位置をとる。
という事をしたかったのだが、今シーズン結局出来なかったのだが、
それと同じ状況をボール非保持からの前プレスで奪った瞬間に作りだしていた。
この辺りがとても興味深かい事象であった。

先制点の19分の局面は仙台が作りたい理想的な形だった。
奪った瞬間に、ボランチとCBの間をとってフリーになっているハモン。
ここに立田が食いつくが、
その空いたスペースに関口が走り込んでシュートと理想的なゴールだった。

もちろん、清水がとても立ち位置が悪くビルドアップにGKが参加するわけでもなく、ロングボールを蹴るわけでもないので嵌めやすく、
仙台の作りたい状況をすごく作りやすい状態だったと思う。

ボールを持たずに相手を動かす~ロングボール編~

そして、もう1つ保持局面からボールを蹴って相手を動かし、そこに圧力をかけて簡単に処理させず、窮屈な状態でクリアやパスを強要する。
そうすることで、パスを選択する時間を与えず自由を奪いセカンドボールを回収する。
これを繰り返す事によって清水に対して布陣を立て直す時間を与えず仙台が良い位置をとる。
こうする事でも、自分たちは良い立ち位置を。相手には悪い立ち位置にする。という狙いだった。
(崩れ立ち位置を復旧するには本来はパスを繋いで時間を作る事が必要なのだが、それをさせない仙台の守備があった)

という感じでロングボールを使う。そして、そのロングボールは何通りかちゃんと狙いがあった。

ロングボール

清水の前プレスを交わす設計

さて、そんなこんなで非保持がこの日の大きなテーマだったのだけど、
実はちゃんと前プレスを外す設計は出来ていた。
この日の仙台は前に圧力がかかった時にGKを使って前プレスを回避する事が出来た
これが仙台に出来て清水に出来なかった事だった。
仙台の前プレス

そんな感じでほぼすべての局面で仙台が優位にゲームを進められた。
良い前半だったのだが、1点しかとれなかった。そこだけが気掛かりだった。
仙台はこの内容だと修正しようがなく、清水は修正点がいくつかある。
こういう時に清水の修正が完璧だとゲームがひっくり返る事が良くある。
そういう展開におびえるハーフタイムだった。

後半


ロングカウンターと追加点

しかし、その思いは杞憂に終わる。
清水がキックオフ直後仙台に押し込み仙台の右サイドからクロスを上げるがペナ内で仙台が跳ね返す。そのボールをハモンが納めて、裏に走った道渕へ出し、二人のワンツーで相手のペナまで運ぶロングカウンター。
シュートまでは行けなかったがCKをゲット。
そのCKを平岡がニアフリックでゴールネットを揺らし、前半のウチに取りたかった2点目を
後半立ち上がり直後に点を取りかなり楽な展開を持ち込むのと同時に、清水に対して
ロングカウンターでも仙台は点を取れるんだよ。というナイフを背中に突き付ける。

ビルドアップの修正でのボールを支配する清水

2点を追いかける事になる清水は、ボランチを一枚落として3バック化しビルドアップを安定させ、CB2枚が2トップ脇に位置してボールを動かす事に成功する。

清水のビルドアップ

清水は前半よりもビルドアップを安定させたのだが、中央を中々切り崩せず外からのクロスが多くなった。ただ、そのクロスはドウグラスの前で跳ね返す事に成功するので、そこまでの怖さは無かったのだと思う。

右SHの金子から楠神に代える。
金子は大外よりも中でより仕事ができるタイプではあるのだが、中はSBのエウシーニョに使わせたい。なので、SHは大外に配置する事が多くなる。
そうなので、あれば金子よりもドリブルで抜ける楠神という選択だったと思う。
が、これも永戸がほぼ完封。清水に攻め手を与えさせなかった。

その後、攻撃的な交代をする清水に押し込まれ、仙台の運動量が落ちた75分以降セットプレーで決定機を作られるものの最後まで流れから決定機を与えず仙台が2-0の完封勝ちとなった。

最後に

ゲームとしては清水がプランAしかなく変化に乏したったため、
仙台はプランAを遂行するだけでよかった。という試合だったのだと思う。
仙台が良かったし、清水は悪かった。という事実はある。
だけれど、この仙台のプランAは前節神戸では0-2で完敗だったものの、ある程度前から嵌めて奪うやり方に手応えを感じたのだろう。
だからこそ継続、ブラッシュアップしこの清水戦で実行する事が出来た。

さて、僕は久しぶりのユアスタ参戦してきました。
僕はこのユアスタが世界一好きな場所であって、そして、世界一幸せな時間を過ごせた。
後半アディショナルタイムに「刃」は最高だった。
今年一年中々結果が出ず、去年出来た事が出来なくなっており苦しい一年だったわけだが、この「刃」の歌詞のように自分たちの信念を信じ、決して折れることなく戦えた一年だった。
その結果残留が出来たのだ。(数字上はまだ降格の可能性はあるけど、事実上残留であろう)
そして、その試合の後半アディショナルタイムで「刃」を歌う。
死んでも譲れないものがある。いざゆこう信じたこの道を何処まで、仙台がある限り。
とサポーターが歌う。本当に最高の時間だった。
チーム、フロント、監督、選手、サポーターが同じベクトルで戦え、そしてその最後に
この「刃」で〆る。
なんて素晴らしいチームなんだ!!と思い感動しました。本当に素晴らしい時間でありました。