エモーショナルなゲームだった。決してポジティブではない。
それでも、いろんな感情が十人十色あったと思う。
悔しくて泣いた人。
情けなくて呆れた人
やりきれず怒れた人。
あきらめず鼓舞した人。

僕もその一人だった。エモーショナルだったからこそ振り返る必要がある。
見えてなかったものが見えてくるからである。


さて、今回は少しスタイルを変えます。

前回対戦について


リーグ戦前回8失点。
このブログでは

  • 位置的優位性
  • 質的優位性
  • 数的優位性

このすべてが仙台は確保できなかったと書いた。
そのあともう少し見直してなんであんなに何もできなかったかをもう少し掘り下げてみた。
要素は2つある。

  1. 前プレス
  2. カウンター

まずは、前プレスから

前プレス

すごくざっくり、かつ分かりやすく書くとこんな感じになる。

マリノス戦前半の構図



マリノスというのは偽SBを採用している。
偽SBといえば、「グアルディオラ」だ。しかしそれ以外では中々採用されない。
それは「ハイリスク」だからである。もちろん「ハイリターン」でもあるけれど。

リスクは当然SB裏。 あそこのポジションは捨てている。
マリノスはSB裏を使われないようないするための予防が無いので使われた場合即死のケースが多い。
ただ、仙台は構造的に使いずらい。なので、マリノスはハイリターンだけを得るゲームになるのである。

カウンターについて


仙台の攻撃時にはWBが高いポジションをとる。
この時のWBの裏は仙台の弱点である。しかし、仙台はそこを使われないように、
5バックになるまでの時間を稼ぐために石原やシャドウの前プレスがある。
これで時間を稼ぐ。
また、Jリーグには高速ウインガーがあまりいない。なので、何となく守れている。
しかし、マリノスは違う。遠藤ー仲川と高速なウインガーがいる。
マリノスのカウンター
この図のようにウインガーにCBが引っ張られる。中で数的同数or数的不利を食らう。
という図でマリノスが3人ないし4人で完結させることが出来るのである。
これが前節かみ合ってしまい仙台は悲惨な状況になってしまった。

仙台は今節この状況をどういう手段で解決するか。といのうがポイントとなる

ここまで書いて思ったのだがプレビューにすればよかった。


スターティングメンバー

スターティングメンバー



前半

SB裏を狙え!

前置きでマリノスの弱点を書いたわけだけど、当然そのSB裏を狙う仙台。
問題はその方法。

立ち上がりは、大岩からシンプルに松原裏を狙った。
石原がそのスペースを使いチアゴを引き出してイエローだった。

さらに、4分には前回攻略出来なかった密集しているエリアをを攻略
最後に大外で関口VS大津を作り出せた。
これは仙台の狙いだった。

また12分もポジトラから左ハーフスペースを阿部が使いカウンターと
ここまでは左ハーフスペースがビルドアップ出口となり前回とは違う流れになった。
そして、それは仙台の成長を感じさせる序盤戦となった。

マリノスの変化についていけない仙台


やられているのは阿部のところ。仙台の左ハーフスペースである。
そこで、マリノスはそこを蓋をする。
その方法は、片方(山中)のみの偽SBを実行。
そして、松原を含める3バックだった。
松原が仙台左ハーフスペースを蓋をする。
これでビルドアップ出口に蓋をされてしまった。
ハーフスペース止め

こうなっては前回の二の舞。攻撃の手段が無くなりひたすらに押し込まれ自陣でボールを失う展開。さらに、IHがフリーになったことでマリノスはそこを起点に攻める事ができた。なので、先に失点もやむを得ない状態となってしまった。

マリノスの撤退守備を破壊する仙台

こういう流れで仙台が先に失点してしまった。
その直後マリノスは451のブロックを作り撤退を始める。
ただし、このマリノスの451のブロックは強度が高くなかった。
451の時に大津がボールに食らいつきてしまう。なので、扇原の脇に大きなスペースが出来る。
そこを阿部が利用し同点ゴール(オウンだった)を生み出した。

442のマリノス 239


同点に追いついたが、残念ながら前プレス時のビルドアップは何も解決してなかった。
しかし、時折見せるビルドアップは素晴らしいものだった。
が、マリノスの弱点を突くには時間がかかりすぎて致命的なダメージを与えられなかった。
ようするにビルドアップで時間をかけることによってSB裏の弱点はマリノスがケアされてしまう。
もっと致命的なダメージを与えるにはあのSB裏をもっと早く。マリノスがケアする時間を与えずに使う必要があった。
しかし、それは仙台の3421では構造的にかなり厳しいという事かもしれない。


後半


仙台の前プレスとマリノスの変化


仙台は前プレスに切り替える。
以下のような構図にする。これは一定の効果があった。
前ハメ



しかしながら、マリノスがすぐに立ち位置を変更。仙台の前プレスに関して扇原をフリーにする構造を作り出す。

前プレス回避


そして、その扇原起点からサイドに展開し、仲川が決めて突き放した。

442の撤退守備VS仙台


さて、ここで2点差になったことでマリノスは442の撤退守備に移行する。
ただ、442の撤退ならば仙台にチャンスは残されていたのだ。
実際に前半の同点ゴールは442の撤退守備を破壊して決めたものだった。
前半言った通りマリノスの442はそんなに洗礼されていない。この程度であれば、
正直仙台にとっていつも通りにやれば何も問題なかった。

ところがいつも通りにやれなく人と人の間を通す勇気が足りない。
そして、左右に揺さぶり続ける忍耐も足りなかった。
結果、雑なDFラインの裏へ放り込みや、パスコースが無くなって無理なパスを選択。
などでボールを失う機会がおおかった。

そして、失うと前述のカウンターがさく裂4人で攻め切られる事になってしまった。
こうなると悪循環で
・カウンターが怖いので安全なパスを選択する。
・安全なバスばかりだと位置が不利になりパスコースがなくなる。
・ボールを失う。
・カウンター食らう

という流れになってしまった。

奥埜-野津田の2ボランチの代償

断ち切りたい仙台は関口に代えて中野、富田に代えてジャーメインを投入。
奥埜と野津田の2ボランチに変更。ジャーメインが野津田のいたシャドウに入った。
これで、勇気ある人と人の間を通すパスの出し手を増やそうと考えた。
が、今度は野津田が前にいないことで44のライン間で有利な立ち位置をとれなくなってしまった。
これによって仙台は前半のように44のブロックを破壊できず。
それなら、サイドに振って横のラインを広げれば良いのだがその忍耐もなく。
仙台らしくない雑な攻撃になってしまった。
その結果が2失点だった。

最後に見せた僅かな望み

このまま前回のリーグ戦同様なす術無く負けるのかと思った。
が、しかしそうではなかった。
この絶望の淵で進化を見せるものがいた。
阿部だった。

野津田がいなくなり立ち位置有利をとれる選手がいなくなり仙台らしさが出なかった。と書いた。
だが、5点目が入った辺りから阿部が立ち位置をとれてパス回しの軸になるような形が見えた。
そして、その形が得点を生む。

これはたまたまではないと思いたい。この状態で何かをつかんだと思う。
いや、これは僕がそう思いたいだけかもしれない。
だからこそ次節以降こういった動きを見せてもらいたいものである。


最後に

またしても、マリノスには大敗。
リーグ戦2試合で13失点。 残念ながら普通ではない状態になってしまった。
前半は良いところまでいったのだが、マリノスの弱点であるSB裏を突くには時間がかかりすぎた。
もう少し早くあそこのスペースを使わないといけないことが分かったゲームだった。
それは今の3421では構造的に不可能なのかもしれない。

今期でマリノスとの戦いはもうない。次に戦うときは来年になる。
その時には3度目の正直になるように仙台が進化している事を切に祈る。