秋天の陽炎。
19年前 1999年 J2最終節。 山形VS大分。@天童。
大分は勝てば(Vゴール勝ちを含む)J1昇格だった。

先制するも、後半アディショナルタイムに吉田達磨にFKを叩き込まれ。
延長すぐに山形の平間が退場。
しかし、10人全員で守る山形の牙城を崩せず。
大分のJ1昇格は陽炎となった試合を書いた小説である。

この日J2優勝が見えたのだ。間違いなく見えた瞬間はあったのが…

スターティングメンバー


スタメン


前半


◆ヴェルディの攻撃と町田の442ゾーン


まずはヴェルディのボール保持から説明していこうと思う。
ヴェルディはボール保持時には343でピッチを広く使い圧縮に対抗しようとした。
対する町田は442のゾーンでボランチ2枚を2トップで消す。アトレチコ式442だった。
ヴェルディのビルドアップは3種類
  1.ウイングへのロングパス
  2.シンプルにDFラインの裏に林を動かす
  3.WBへのショートパス

ヴェルディの攻め手


ただし、どれも効果的ではなかった。

1.ウイングへのロングパス

Wing時の対応


 渡辺が大外でフリーなのだけど、大谷との1vs1に勝つ事が出来ず。
 抜かずにクロスという選択が多くなった。
 しかし、クロスのターゲットも林1枚だけなので、チャンスは作れなかった

2.シンプルにDFラインの裏に林を動かす

 これは狙いだったのか
 パスの出しところがなくてリスクを負わない選択だったのかは迷うが、
 とにかく一発でラインの裏へ。ただし、これもチャンスにはならなかった。

3.WBへのショートパス

横スライド


 WBに預けても町田はスライドしてくるので中には使えず、外外で進めるか
 DFラインに戻すかの2択だった。
 外外で進めても渡辺vs大谷になるので1と同じ状態になりチャンスにならない。

リスクを追わない。というヴェルディの姿勢は若干腰の引けたようにも見えた。
そして、説明したように町田の442ゾーンを攻略出来ず。
攻め手を欠く前半だった。

◆町田の攻撃とヴェルディの守備


ヴェルディが攻め手に欠く展開で町田はハイラインを維持できた。
なので、町田は押し込む事が出来た。

町田の攻撃は、大外、ハーフスペースを数で押し、最後にペナ中に入っていく。
その役割を平戸が持っていた。

町田の攻撃


図のように平戸がボール保持時に1列上がってハーフスペースで起点を作って中に入れるそれを山内と吉濱で仕留める。そんな作りだった。

しかし、それは分析済みだったのかロティーナは
下のようにボランチ一枚を平戸に付けてCBとボランチ、ウイングをハーフスペースに入れて中に入れさせないための壁を作る。

ヴェルディの守り方


町田はひたすら数の暴力でハーフスペースを攻略するのだが、
そこを数で対抗されたために、ハーフスペースから中に入れなかった。

従って町田は押し込む事には成功したが、狙った形を流れから作れず。
ただ、押し込んではいるので、CKやFK、スローインからチャンスはあった。

後半


◆ヴェルディの修正

後半修正したのはヴェルディだった。
町田はアトレチコ式442のゾーンだったので、3バックには時間がある。
その時間を利用し、WBを高い位置を確保。
ウイングだった渡辺、アランをシャドウ化してハーフスペースに入れる。
また、ボランチ一枚もハーフスペースに位置取りWBを助ける

後半のヴェルディ


WBに出たときに前半と違いクロスには1トップ+シャドウの2枚が対応できる。
また、WBのパスコースがシャドウとボランチ2コースあるので攻撃が詰まらない
よってヴェルディが町田を押し込む展開が続いた。

先制点もこの押し込んだ形からだった。
なお、図は左サイドだが、先制点は右サイドで逆の構図だった。
平からのサイドチェンジを奈良輪へ。奈良輪のスルーパスを林が抜け出し先制。

◆交代でギアを上げる町田

失点後、町田はバブンスキーとロメロフランクを投入し、攻撃のギアを一段上げる。
バブンスキーは前線でロングボールのターゲットとなり、
ロメロフランは3列目からの飛び出しでヴェルディに圧力をかける。
ファイアー気味なので、町田野ネガティブトラランジションは良くない。
そのためヴェルディのカウンターは成立する。そんな展開になっていった。

しかし、この交代が同点ゴールを生む。
CKのセカンドボールから大外で酒井がダイレクトでハーフスペースに走ったロメロに出す。
ロメロは折り返し大谷が合わせ同点だった。

基本的には前半の町田のハーフスペース突撃と仕組みは変わらないのだが、
平戸だと足元で受けようとする。
しかし、ロメロだとスペースに走り込みボールを受けられる。
結果DFラインを引っ張れる。
その違いは大きかったと思う。

後半町田


◆同点の状態での精神状態

同点に追いついた町田は勝ち越しすためにイケイケの状態になる。
ただし、バブンスキーがなぜ先発で使えないかがわかる時間になってしまった。
バブンスキーはここ最近ターゲットにはなる事が出来ているので最後投入され結果を出している。
しかし、ポジショニングを理解しているわけではなかった。
同点に追いついてからも、味方と重なったり、有利ではない位置にいたりと、ボールに絡めなく攻撃を停滞させてしまった。
その一方、ヴェルディは引き分けでもプレイオフ出場となったので、プレーの優先度はボールをキープする事が一番高くなった。

アディショナルタイムはほとんどヴェルディがボールをキープ。
そして、町田が奪い返すために無理にする構造だった。

残り1分でようやく奪い返しCKを得るもゴールを揺らせず
同点のまま試合終了する。

気が付けば


山雅は0-0で徳島とゴールレスドローに
大分は19年前と同じように山形に後半アディショナルタイム追いつかれ
1-1のドロー。

ようするに、勝てば優勝だったのだ。
しかし、その優勝は陽炎のように秋天に消えていってしまったのだ。。。

最後に


町田は最後あと少しだけ優勝には届かなかった。
それでも今シーズンの町田は素晴らしいシーズンだった。それは疑いようのない事実だ。そして、昇格が無い町田でクラブ全員がこの狂気ともいえる横圧縮442の可能性を信じて戦った。
そして、その信念は最後まで固かったからここまで来たのだ。それは優勝よりも素晴らしいものだと僕は思う。
そして、僕はその狂気に魅了されてしまった一人なのだ。
この狂気を広めたくてこうしてブログを書いているわけです。
あの場所にいた1万人の中には邪な色々な事情でJ1のサポーターもいたと思うがその何人かはこの狂気なまでの横圧縮に魅了され来年も野津田に来てくれればと願いこのブログを締めるとする。

でも、優勝したかったなー(矛盾)
やっぱりジェフ戦のPK3つだなー。。。