去年のおさらい

まずは、去年の予習から。
2018年の快進撃はセンセーショナルであり、その戦術も異端であった。
簡単に言うと、極端なまでの横圧縮で、4局面のうちボール保持/ボール非保持を捨て
ひたすらにトランジションを引き起こす。
オーバーロード
上記のように圧縮し、攻撃も基本的には同サイドアタックで逆サイドは使わない。オーバーロードアタックを採用していた。
その中でスローイン、CK、FKのセットプレーで点をとってきたチームである。

勝てない理由は圧縮エリアに空く穴

まずは、結論を先に言おうと思う。
去年は4-4-2の圧縮する形を崩さなかった。特に重要なのは、4-4の壁であると考える。
3レーンに対して4人(全レーン埋めても一人余る)壁を2枚作る事で圧縮を作っていた。
しかし、今年はこの形が出来ない。
色々な理由があるのでが、圧縮しているエリアに穴が空く。
簡単に言うと3-1-3-3 のような形になる。

3-1-3-3

シローさんの5レーン&4レイヤー理論を採用させてもらうと、
第3レイヤーが去年より圧倒的に広くなっているのだと考えている。
この広がったところから時間と場所を確保。ボール保持へと移行されてしまっている。
なので、今年は逆サイドへの展開ではなく、単純なクリアでもこのスペースによってカウンターへと移行されてしまうように見える。

穴が空く理由

去年と違ったなぜ穴が空くのか。という理由を探っていく。
個人的には2つあるのだと思っている。

理由その1~得点を取るために~

去年のゴールはセットプレーからが多かった。
このあたりきちんと数字を調べたかったが、面倒なのでやめたのは内緒。
平戸が居なくなり、今年はセットプレーからの得点は全得点中25%(20点中5点)とセットプレーからの割合は半分になっている。(もちろん、ゴール全体の数も減っているので数にするとかなり違う。)
このあたりきちんと数字を調べたかったが、面倒なのでやめたのは内緒(笑)
とにかく、平戸のセットプレーに変わる、点を取る方法を探さなければ行けなくなった。
そこで、採用したのはペナ角攻略である。
攻撃について

赤いエリアを数的優位性を作り攻略する。(ちょうど、新潟戦(3-3)の2点目のロメロのゴールがこの形だった。)
この時にボールサイドは中に入るのでSBがあがり、大外を使う。
また、DHがこのエリアに突撃。(主にロメロが突撃する) 
この形は今年唯一再現性のある得点の取り方であるのは間違いない。
ただし、デメリットも大きい。
攻めきれなかった時に、前に6枚使っているため後ろが3+1で守らないといけない。
時に3レーン圧縮してDHが1枚なので、レーンを埋めれる訳が無く、
町田としてはトランジションの局面を発生させる事が出来なくカウンターを食らってしまう事になる。
また、この現象は点差が開けば開くほど顕著に表れる。
徳島戦の後半はほとんど1ボランチ状態で圧縮出来ずに苦しんでいたように見受けられる。

理由その2~ボールを奪うために~

また、もう一つ前プレスについて。
去年は2トップ状態を崩さずに2枚で前プレスを実施していたが、
今年は3バックに対して前線3枚での前プレスを実施している。
前プレス

こうすることで、前プレスから人数を合わせてボールを奪うような設計になっている
ただし、こうすることで残されたDHの脇に大きなスペースがあり、前プレス奪え切れない
と、DH脇から攻められるという事があるように見受けられた。
最初の前プレスに人数を掛けすぎている。奪うためのプレスに6枚使っている。
そのために、前プレスを剥がされると「3+1」になってしまうので、守れない。
という現象が発生している。

このように、町田は2つの事象が4-4-2ではなく3-1-3-3になり、
圧縮サイドに穴が空く要因となっている。
失点し追いかける展開になると、
この3-1-3-3の状態が長くなり町田らしさ消えてしまっている、

平戸は救世主になれるのか?

さて、この状態から脱却するには?と色々考えていたのだが、
8/1 に平戸が町田へ完全移籍するという方が入った。
なので、ここは平戸が救世主になれるのか。というところを推測していきた。

僕は「救世主になれる」と考えている。
それは、ペナ角攻略が必要なくなるからである。
同サイドアタックからトランジション時のファールでFK。もしくは、同サイドでCKを得ればOKになるので、4-4-2を崩す必要が無くなる。
4-4-2を崩さなければ、圧縮した空間に穴も出来ない。そうなればまた去年の町田に近い状態になる。とにかく全ゼルビアサポーターは平戸に祈れば良いのである。
祈れば救ってくれる。それが平戸である笑

だが、平戸に頼ると今年のように居なくなった時にチームが勝てなくなってしまう。
なので、平戸復帰とは別にやらなきゃいけない事もある。
個人的には2つ。

1.カウンターの実装
町田トランジションゲームでジワリジワリとボールを相手自陣に運ぶ事は出来るのだが、
撤退からカウンターで仕留められない。
大外に出すタイミングが早すぎてカウンター時に選択肢を自ら消してしまっている。
なので、中央3レーンで完結するようなカウンターの実装はしておきたい。

2.空中戦の実装
トランジションゲームは現状地上戦に限られている。なので、空中戦でも同じようにトランジションゲームを出来るようにしておきたい。ただ、これは今の町田のメンバーだと空中戦出来るのがドリアンしかいないのでどうしても難しくなる。
なので、補強が必要ではあるのであるが、地上戦だけでは限界が来ると思っている。

最後に
とにかく町田はシンプルに攻撃する必要があると考える。
なので、今年のペナ角攻略は町田の圧縮に合わないのかなと思うのである。
あのペナ角攻略は発想は面白いがボール保持するチームがやるべき戦術でトランジションゲームを仕掛ける町田には合わない。
という事を言いたかったのである。ただ、これも相馬さんの工夫で行きついた答えである。
失敗は成功の元である。この失敗を活かせるのが相馬さんだと思うので、
今年これからの巻き返し。そして、来年のチーム編成に活かしてほしい。