2020年12月


本日手倉森誠氏の再任が決まった。
なので、アレコレ僕が思う事と僕の想像する事を考えてみよう。
これを1つ参考にしてもらえればと思う。

木山さんの評価について

まずは、その評価の前に、木山さんの評価を。
最終戦の内容はさみしいもので、残念ながらこの半年で直面した課題を解決できなかった。
という証明をしてしまった、ホーム最終戦であった。

また、来年シーズンも非常に短いスパンでゲームが行われるために
途中に監督を変えることは立て直す時間がほぼ無いと考えるのが良いだろう。
となると、実質残留に向けた場合最後の監督交代のチャンスと考えるべきであろう。

従って、残念ではあるが、木山さんの退団やむなしなのである。
と考えている。

 
1シーズン(半年)使って課題解決できなかったものに対してもう1年仙台の運命を任せていいのか。という話。
なので、退任は妥当なのだけれどどうしても違和感が残る。
内容で評価すれば、11月半ばからチームの状態は上がってきていたし、清水との直接対決を制し形ばかりだが残留圏内も見えて、
スペインからコーチを呼んだ直後のタイミングでの退任発表だった。
 
たしか、10月末での強化部は11月終わりから怪我人が戻ってくるので、そこで評価する。
という話だった。
この基準なら木山さん続投でもよかったのである。
 
なぜ、退任なのか。あったはずの2年目の契約は行使されなかった理由は何だったのか。

次期監督から見えてくる仙台に起こったこと

それは次期監督候補からその理由はうかがえる。

監督候補は仙台二高出身の大槻毅氏と手倉森誠氏の名が上がったのだけれど、
実際にやっているサッカーはそれぞれ違う。
大槻さんはどちらかというと、木山さんと同じ方面。
相手を研究し嵌めるのがうまい監督である。
 
テグさんはいわずもがな。
では、この志向するサッカーが違うふたりが候補にあがったのか。
それは、お互いに「仙台」にゆかりがある。
ということなのだろう。

仙台二高出身で、ソニー仙台の前進でプレーした大槻さん
そして、現在の基礎を築いた手倉森さんという、
ベガルタ仙台の株主及びスポンサーに対して共に仙台出身で仙台一丸で戦うぞ。
という説明しやすい構図を作った。

現在仙台は債務超過を抱えている。
その中で継続して株主及びスポンサーに支援を続けてもらうための選択。
いや、極論を言ってしまえば、J2に降格した場合でもスポンサー継続してもらうために、
誰なら「仕方ないね。」と言ってもらえサポート継続してもらえるか。
誰となら一緒に死ねますか。という話だと僕は思う。
#手倉森さんに関しては突然候補に転がり込んだ。偶然な気もするが。

木山さんの話に戻ると退任もピッチ上で起きていた評価ではなく、政治的評価という可能性が強い。
株主とスポンサーに説得には木山さんでは弱かったということなのだろう。

ま、わかりやすく言えば
例えばロティーナが最適ですね。とフロントが解を出したところで、
それを株主やスポンサーを説得させる材料に繋がるかというとこれは凄く難しいでしょ。という話である。
そして、それを説得させる人物も権力も今の仙台にはいない残念だけれども。。。

未来より明日を生きるために



もちろん、サッカーはピッチで行われる競技なのでピッチでの仕事で評価してほしいわけです。
そうしないと、やはりどこかに「歪み」が生まれる。この「歪み」は未来を蝕んでいく。
でも、今の仙台は「未来」より「明日生きるための金」が重要。
「明日生きるための金」が無いと未来なんて無い。まずは、明日を生きるための選択しかできない。

それでも、実は…ベストアンサー?

と、嘆いてばかりだが、
もし、手倉森さんが監督になったのは、不幸中の幸いなのではないだろうか。
というか実は今の仙台ではピッチ上での評価をしてもベストに近い選択なのではないかという気がする。
確かに今年長崎で圧倒的な個の力を持った前線を用しても昇格できなかった。
という程度の実績ではあるし、仙台を離れてから上積みがあるかと言えばそれもかなり怪しい。
ただし、相変わらず守備の構築はできる監督なのは間違いなさそうである。
残留争いはしぶとく勝ち点を拾ったものが強い。そういうやり方には適した監督である。

もちろん、「未来」は見ていない。なので、限界も見ていて、やはりボールを保持するという事に解決策を持っていない。
2013年に直面した課題解決方法は持っていないので限界も見えている。。
でも、それは未来だ。
まずは、明日を生きるためが優先される仙台の現状では最適解な気がするのだ。

最後に

ピッチ上に評価軸が無い、ピッチ外の評価で選択している。
その評価は間違っている。
そして、それは正しい方向になんか進むはずがないのだ。本来ならば。。。
それにも関わらず、ベターな解になるかもしれない。これは奇跡だ。
しかも、最初は候補の選択肢にも上がらなかったはずの手倉森さんで。
仙台の悪運としか呼べないが、仙台はわずかな希望の光を手にした仙台。
このわずかな光を手にJ1 12年目シーズンを迎える。

そして、最後の最後に

就任にはデメリットしかないような状態で引き受けてくれてありがとうございます。
また、あなたと戦えるなんて夢にも思っていませんでした。
ここから本当に大変な作業ではありますが、一緒に戦えてうれしくも思っています。
よろしくお願いします。


スタッツ

スタッツ

スターティングメンバー

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前半


ボールが運べない仙台

ここ最近の仙台はアウェイでは現実的にボールを持たず、ボールを前線に蹴ってなんやかんやで勝つ。という感じであったが、ホームでは保持する時間を増やして、自分たちからアクションを起こす。
という感じ。
この試合もその例に漏れず、前半からボール最終ラインから蹴らずに運んでいこうとする。
が、そこに問題あり。
仙台はアンカーへのパスコースを止められると最終ラインからボールを前に運べない。

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結局、サイドバックへ渡すしかない。
そこに湘南は躊躇なくIHがプレスをかけて奪ってカウンターを受けるというシーンが多くなった。

たぶん、仙台はSBである程度ボールが持てると想定してそうだった。
なので、IHが来るのは少し想定外。
もっと話すとIHが来た時にアンカー脇が空く。
そこを使えると想定していた仙台だが、そこは勇気をもってCBが前で潰すことで湘南が仙台の狙いを潰した。

湘南ロングボール設計

そんな保持で苦労する仙台。

自陣を脱出できるのはロングボールのみ。
ただし、この日はそのロングボールもそこまで設計はされていなそうで、有効なものはなかったため、
ロングボールを送ったあとに仙台が回収する方法は無く湘南ボールになった。

そして、相手ボールになった時も仙台はボールを奪えず、湘南が保持状態からでも仙台を押し込めた。

TACTICALista_202012281045 (1)

ということで、3バックの真ん中石原から左右のフィードが狭く守る仙台に対してロングフィードで幅を使う湘南。
そこからクロスの攻撃で仙台をゴール前釘付けにする状態に成功。

しかし、仙台もギリギリのところでゴールを割らせずなんとか0-0で折り返す事が出来た。

後半


3バックで運べるようにはなる

保持、非保持の両面で何も出来なかった仙台はジョンヤと石原を投入し3バックにして保持を整理した。

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仙台はIHが前に出てきたスペースを2DHが使えるようになり、前進出来るようにはなった。
が、そこから先は無く最後のところはサイドからクロスボールしかなかった。

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なぜ、そこからクロスしかなかったのかは、
大分戦や清水戦で出来ていたようなひし形が作れないため。
なぜ作れないかというと。この日はシャドウがDFラインの裏を狙ってしまい、居てほしい空間にシャドウがいないというのが要因であった。

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それでも、中央のサイズ的には仙台が勝っているのでもう少しクロスを考えるべきだったかなとも思う。

畑で殴る湘南

前半はウイングの対応のために低い位置でのプレーで攻撃にまでは絡まなかった畑。
仙台が3バックになったことで、畑が高い位置でプレーする事が可能になり、
石原からWB裏に展開し畑のスピードで突破。
というシンプルな形で決定機を作れるようになった。

ただし、最後のクロスが尽く合わずにフィニッシュまで行けなかったのが湘南としては痛恨だった。

そんな感じで前半よりは良くなったものの、後半も決定機は湘南が多くイマイチな出来になった。
残り10分はお互いにオープンな状態になり、殴り合いになったがそんなかなで仙台がゲデスから決定機を迎えるが長沢が決め切ることが出来ずゴールレスドローとなり、
18位に湘南17位に仙台が確定しお互いに望まぬ試合となった。

最後に

まずは、木山さん難しい年に最後まで責任を持って指揮をとってくれた事に感謝しますし、
本当にご苦労様でした。

色んな悪いことが起こっていてもうやってらんねーよ。
と途中で投げ出してもおかしくなかったし、そうなったらS級ライセンス保持者もおらず、金もない、時間もない仙台にとっては大変な大混乱に陥ったに違いない。

でも、そうしなかった。というのは本当にありがたかった。
そして、投げ出さず、諦めず最適解を苦しい中で探そうとする姿勢は僕にっては推す事には十分なだった。

ただし、厳しいことを言えばチームとして大枠を作れなかった。
だから、ここまで苦労したということですかね。
この日もそうだったけど、保持の仕組みもほとんど作れなかったし、非保持も清水戦のように脆さを見せて最後まで強固とはならなかった。

なので、苦戦は強いられたのだと思う。

だからこそ、1年での退任はおかしいとは言い切れないところが残念。
せめて、最終戦で良いところを見せてくれれば退任はおかしいだろ。
と言えたのだが、そして、言える事を望んだのだけれどそうはならなかった。

まぁ、監督退任のお話は次の監督が決まったら別に記事を上げるとして、
ここでは、ひとまずお疲れ様でした。と言いたいですね。

ハイライト



スタッツ

スタッツ

スターティングメンバー

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前半


仙台の前プレスと清水の前後分断

仙台は前節で完璧なほど良かった3-4-2-1を続けて採用。スタメンも不変。
そして、この日は前節のミラーゲームとは違い相手は4-4-2なのでギャップが生まれる。
そのギャップを上手く活かせるか。そして、守備時はギャップを消せるかが勝負になる。

そういう中で仙台は、清水に対して前プレスで前後分断に成功。
TACTICALista_20201219106

仙台は前プレスの立ち位置は3-4-3 で前線の3枚はボールサイドにスライドし、最終ライン4枚に対応する。
そして、DHにはDHが対応する事で清水のビルドアップはこの前プレスを外せる部分がなく
前線に張る4枚は完全に孤立。
仙台がハーフコートゲームにすることを成功。

これを回避しようと竹内を最終ラインに下げて3-3-4のようにする時間帯もあったが、
最終ライン3枚と数的同数になってしまうのでこれは仙台がより守りやすい状態になった。
なお、この時SBはWBが対応。(自ら立ち位置のギャップを消してしまう結果になった)

そういうハーフコートゲームの中で17分に仙台はCKから蜂須賀がファーサイドから豪快に飛び込み先制し、最高の立ち上がりととなった。

分断の解決策はサイドハーフの解放

給水後あたりから、清水は解決策を見出す。
それが、SHの解放であった。
ハーフコートゲーム時はSH前線からあまり動かなかった清水だが、
修正後はSHが自由に動く。
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サイドハーフが中盤の間に入ってボールを受けることで清水のビルドアップは成功するケースが増えた。
これによってハーフコートゲームが終了。
仙台は5-4-1で撤退する時間が増えていく。

ただし、この5-4-1で撤退しても安泰じゃないのがこの日の仙台。
この解放され自由に動くSHが2枚とも中に入った時にどうしても守備の焦点が合わない。
金子→西澤が共に中央に入った事に対応できなく、西澤のミドルシュートで同点となる。

5-4で撤退しているのに、中央を貫かれるのはさすがに印象が悪いよね。
っていう失点だった。
ま、確かにミドルシュートは素晴らしいものだったけれども。

整理された保持からの素晴らしい勝ち越し弾

これで、苦しくはならなかった。
この日は、仙台の3バックにしてボール保持が素晴らしく良かったし整理されていたように見える。
これは新任のマルティネス効果なのかもしれない。
と思ってしまう私は単純すぎるか。。。
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CBが運んでシャドウ-DH-WBでひし形を作る。
さらに、清水のSBはシャドウとWBの択を迫られる。
この択は同時に消せないので、どうしてもどちらかが空いてしまう。
という事で仙台は上手く保持が出来た。

なので、撤退すると守れない仙台であったが、こうやってボール保持では計画通りにボールを運べて相手陣内に押し込めたが、この日一方的に殴られなかった要因。
今までならば、前プレスを外された時点で、保持も出来ない。撤退も出来ない。
でひたすらに殴られる状況になっていたので、これは成長。

さらに、こういう保持の局面で、シマオのWBの素晴らしいパスから一気に相手のバランスを崩し押し込みセカンド拾って松下のミドルシュートで勝ち越し。
という局面まで持っていけた。
我々タフになったのだ!!という証明でもあった。

後半


間に入り込む清水と前線のキーマンを失った仙台

前半は概ね良かったが後半は良くなかった。
清水のハーフタイムの3枚交代から一気にギアを上げた清水に一方的に押し込まれてしまう。
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清水は前半ボールを持った時にSHが間を取って上手く出来た。
という成功体験から、それを継続。
さらに、2トップの関係を1枚は裏へ、1枚は引いて間を取る。
と、別のタスクを連動して取るように修正。
これによって、仙台は押し込まれる。

また、仙台は前半に足をひねった長沢が西村に代わっていたこともかなり大きかったように思える。
まずは、守備の局面では、長沢が出来る背中でパスコースを消す事が出来ず、
CBからのパスコースを限定出来なかった。

また、風上にたったのでロングボールが増えた仙台だが、そのロングボールを収める事も出来なかった。

この日実は風が強くロングボールは凄く影響を受けていた。
(前半風上の清水はこれを全く利用しなかったが…)
なので、この風を使ってDFラインの裏へ放り込んで西村を走らせたかったのだろうが、
自陣に押し込まれすぎてDFラインの裏まで狙えず、CBと競り合うようなボールが多くなり
西村では厳しかった。

それもあって陣地回復も出来ず押し込まれていった。

ただし、仙台は耐えていた。というよりも清水は中央しかないので仙台は中央に人数を割いてギリギリのところで跳ね返せた。
ただ、2失点目のところはファンソッコに幅を取られクロスを入れられる失点に繋がった。
中央に人を割いた分サイドに振られると無力であった。

決闘!闘志!気持ち!!

追いつかれた仙台は4-1-4-1に変更し、相手の4-4-2に対して対面守備で対応するようになる。
ここから、1対1で勝ったほうが勝つ!
というデュエル思想に変化する。
そして、それを実行するのに大切なのは勝ちたい気持ちであり、闘志であった。
それを注入したのは関口であったと思う。

関口のイエローから突然試合は激しいものに変化し、仙台はこの関口のイエローから5分間で3枚もイエローをもらう事になる。

正直この3枚のイエローは技術的には褒められたものでは無いのだけど、
それでも自分が止めなかったら負けてしまう。という気合の入った守備であった。

そんな突然、気持ち勝負になったゲームは86分。
清水ゴール前でのFKを途中から投入された浜崎が素晴らしい駆け引きと素晴らしいキックの精度で直接清水ゴールを射抜き三度仙台が勝ち越し。

この後清水はヴァウドを前線に上げてパワープレーに出るが、風下で上手くいかない。
仙台はこの1点を守り切り激しい打ち合いを制し16位に順位を上げた

最後に

気持ちの入ったゲームであった。
非常にエモーショナルなるなゲームであった。
今年降格は無いのだけれども、
仙台はそんな事気にしていなく本当に降格があり死んでも残留するような戦い方であった。
この日もザ・残留争いの非常に白熱したゲームだった。と思う。

その中で勝敗を分けたのはやはり、気持ちのところだと思っていてそれを関口がちゃんと注入したんだと思う。だから、勝ち越せた。

仙台はこれで初の連勝。
良くなった部分もある。勝てるようにもなった。
ただし、やっぱり5-4にしているのにまるで守れる雰囲気が無い守備が気になる。
本文中も書いたけれどやはり5-4にしても真ん中ぶっ刺されるようでは厳しいなと思うの事実。

ただ、やっと地獄から這い上がり16位まで来た。
本来の残留圏の15位までは勝ち点3差。
そして、その15位横浜FCとは得失点差はほとんどなく、横浜FCが負けて仙台が勝てば
15位確定となる。他力もあるけれど、それでもここまで来たらなら15位して
俺たちは本来でも残留しただぞ!と胸を張って終わろうじゃないか。
だから最終戦も勝って終わろう。

しかも、おまけでホーム初勝利が付いてくるわけだからね(笑)

ハイライト



スタッツ

スタッツ

スターティングメンバー

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前半


電光石火の先制点

キックオフから17秒での電光石火での先制点だった。
この日の仙台はシステムを大分と同じ3-4-2-1のミラーにして、WBの裏を蜂須賀で取ってクロス。
それを逆サイドの石原が詰めて先制点だった。
このWBで裏を取る形はこの得点の直後にも見せていて仙台の狙いだった。
と思うのだが、実はその形はこの2回だけなので、どうなのだろうか。

とにかくこの先制点はボールを持たなくても良くなった。
という意味でも仙台に大きなアドバンテージになったと思う。

仙台の前プレスが嵌らない理由

そんな、さっくり先制した仙台だけれども、ボール非保持は結構苦労していた。

島川が最終ラインに落ちて4バック化する大分に対して仙台はいつも通りの外を切るプレスでボールを奪いに行く。

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ただ、この時にシャドウがボランチ脇まで降りてきて、そこにボールを付けられ攻撃の起点とされていた。
内に誘導しているにも関わらず内側の受け手を捕まえられていないという切ない現象が発生。
なので、仙台は大分を嵌められなかった。

しかし、決定機が作られたわけじゃない。
シャドウに入ったところから、パスでしか展開できないのがその理由。
前のパスコースはマンツーマンですべて捕まっていて前進出来なかった。
フリーのSBに渡されたら攻撃が遅れるので5-4-1で撤退する時間があった。

ここで、ドリブルで縦に運ばれたらきつかったが、ドリブルという選択は最後まで無かったので仙台とは怖くなかったと思う。

覚悟の5-4-1へ移行

前プレスが嵌らない仙台は、先制しているので無理する必要は無く、ひたすらに負け筋を消していけばよかったので、
給水後、内側への誘導前プレスを止めて5-4-1で撤退する時間が増える。

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大分のシャドウが使うボランチ脇のスペースを仙台のシャドウが先に消して、縦に入れさせない。
前プレスはSBに入った時に行く程度に減らし縦に入れさせない事を優先させた。
この状態で無理に縦にパスを入れれば仙台の守備網に引っかかり仙台のカウンターが発動する。
なので、保持している大分は前に進めず最終ラインでのパス回しが増える。

また、この日は仙台が5-4での守備だったから苦手な横スライドが普段より簡単であったため、
横に振られても対応できた。
ということで、大分はボールは保持すれど、仙台のゴールに近づけない前半となった。

後半


ボランチのスライドで修正

さて、後半は仙台が修正。
俺たちは前から行きたい!という意思を見せるために前プレス時のボランチの動きを修正した。

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前半と同じようにシャドウが外を切って内側に誘導する前プレス。
これと連動しボランチがボールサイドにスライドしてシャドウを捕まえる。
ということで、縦に誘導し誘導先でようやくボールを奪える事に成功し、完全に仙台ペースになるかと思われたが、、、

シャドウの変化で押し込む大分

大分も60分くらいに修正。
シャドウをボランチ脇じゃなくてWB前に持ってくる。

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これで、石原と蜂須賀の両WBをピン止めして、大分の松本、田中がフリーな状態を作る。
松本、田中に仙台のシャドウが出ていくと三竿、岩田がフリーになりそこから前進される。

ようするに、仙台は大分のWBとCBを両方をシャドウ1枚で防がないといけない
という状況を作り出す大分。
これを防ぐ方法が無い仙台。
大分は空いた方から前進し仙台を押し込んでいく。
ただ、押し込んだ大分は結局はサイドからクロスしか攻略法が無く、それをすべて跳ね返す仙台の最終ラインという形に。

今日は中央にシマオが居るため単純なクロスでは最終ラインは崩れずひたすらにクロスを跳ね返す。

我慢比べからのセットプレーで勝負あり

攻める大分、守る仙台の我慢比べが続く。
そして、焦れた方が負けるというゲーム。
結論から言うと焦れたのは大分だった。

5-4で撤退する仙台に対して鈴木が最終ラインから少し雑なロングボールを入れる。
これを照山が悠々とカットしカウンターへ。
クエンカに代わって入った関口は最初は縦に仕掛けるが、
カウンターできないと判断しキープから一度落ち着かせ、
2次攻撃へ繋げる。
保持の形になった仙台は松下のパスからトラップで一枚外した山田がフィニッシュまで持って行く。
そして、そのフィニッシュで得たCKを自ら大分ゴールに沈め決定機な2点目を生みだした。

その後は2点差になった事で大分は前がかかりでバランスを崩し、
攻めるが雑になっていった大分は仙台の5バックを破壊するクオリティは無く、
このまま2-0の勝利となった。

最後に

完勝!!
そして、木山さんになってから僕のイメージする木山さんらしい勝ち方がようやく出来た試合だった。

ここまでは、自分のチームが主語でどうアクションしていくか。が中心だったけど、
今日は相手チームが主語でそれにどうリアクションしていくかが中心で、
木山さんは後者の方に長けていると思っている。

保持率も73対27と圧倒的に保持されたけれど、決定機は仙台の方が多かった。
ようるすに、保持は飾りだということだ。
大事なのはゴールに近づくこと。
パスを何本も成功させてもゴールに近づけない事もあるし、
一本のパスでゴールに近づけることもある。
それを体現したゲームだった。

大分は去年から撤退されると苦労し終盤中々勝てなかった。
そんな中で今年、前プレスの嵌め方がかなり良くなって、相手陣内でボールを奪っての得点。というシーンで撤退されても奪い返すことで活路を見出した。
ということで、木山さんは、だったら保持なんてしないよ。と潔くボールを蹴り込み、
前プレスも諦め5-4-1で撤退して大分の苦手なブロックの崩しを強制し、去年の勝てない大分の状況を再現させたのは見事。

ま、でも、これは17秒での先制ゴールがあったからこそ選択できたのかもしれない。
もし、あれがなかったら同じ事が出来たのかは不明だし、
後半押し込まれたところでの我慢比べのアドバンテージもなかった。

なので、やはり先制点はこの試合かなり大きなポイントだったと思う。

仙台はこの勝ち方をベースにしていきたい。と思うが
やはり、点をどう取るかが課題となってくるのだろう。
何度も言うがこの日は早々に点を取れたのでこの課題は解決できたが、いつもこういう風には行かない。

攻撃回数は多くない中でどう点を取るか。これを解決出来れば来年は問題ないと思うが、、、
果たしてそれを出来るか。ですね。

ま、兎に角今年は残り2戦ということで、しかも、残りは6ポイントマッチの清水、湘南。
ここを連勝すれば最下位は脱出できるだろうから、必ずこの調子で2連勝して
形だけだけれども残留圏で20年シーズンを終えれば悪くはないんじゃないかなと思える。
残り2試合。兎に角頑張ろうじゃないか!

ハイライト




スタッツ

スタッツ

スターティングメンバー

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前半


ハマる前プレス

仙台は3バックの柏に対して前プレスを実行。

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これに対して柏はビルドアップを諦めGKからロングボールを前線に蹴り込む。
そのターゲットはクリスティーノであった。(なぜオルンガじゃないのかは不明)
そして、ここに平岡が競り、セカンドを回収することで仙台は守備からボールを保持する時間を作っていくことに成功した。

5バックに対してどう攻めるか

ボール保持時には、SBが攻撃の起点となった。
柏はシャドウが非保持時にも中央に残るのでSBに圧力がこない。
なので、ここから落ち着いて前進が出来た。

TACTICALista_20201252036

SBからウイングに当てて、IH、SBのランニングで奥行を取ろうという仙台の形だが、
ここが、5バックの3CBの1枚が付いてこられて裏を取れなかった。

仙台のチーム設計としては、ここを取ってクロスしかなく、この位置が取れなかった場合にチームとしてどうするか。が見えてこなかった。
なので、チームの戦いから個人のアイデアの戦いとなってしまったが、
それがチームとしてリンクせず。

ボール保持は出来るし相手陣内には押し込めるがアタッキングサードで決定的な形を作れなかった。

失点は突然にだけど柏の形で

仙台が保持する時間が増える中で、柏は一発で得点を決める。

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三原が中央に絞ったところから、ヒシャルジソンが敢えて逆サイドへ動いてパスコースを作り出し、クリスティーノにボールを入れる。
ここで、平岡の寄せが中途半端で、寄せきれず、オルンガとのワンツーで抜け出され1発での失点となった。

このヒシャルジソンの動きはマンマーク気味の仙台を手玉に取られた。
そして、中盤アンカー1枚になる弱点を柏の最大の武器でぶったたかれてしまった。

そんな感じで仙台は保持する時間は長かったのだが1発でやられ、
前半0-1で折り返す。

後半


前半より柏に持たれた理由について

後半、柏はより保持の時間が長くなった。
これは、柏がやり方を変えた。
というよりも、仙台が4-4-2に変更したのが要因だった。
TACTICALista_20201252046

4-4-2に変えたことで、ウイングがCBに行けなくなりここからシャドウに当てるパスが増え仙台は単純に押し込まれてしまう。
そして、仙台は4-4-2で押し込まれた時にブロックが機能しているとは言えない状態なので、
柏の決定機が増えていった。

そんな中でのCKから2失点目だった。

さて、なぜ4-4-2だったのだろうか。イマイチ僕は理由がわかっていない。
強力なカウンターに椎橋1枚ではなく浜崎2枚で対応した方が良いと考えた可能性もあるが、
そうすると、2枚のDHが図のように相手の2枚のDHに食いつくのでその狙いは本末転倒な気がするし、
保持時に変化をもたらしたかったのかもしれないが、保持時は4-1-4-1に可変し後半と立ち位置は変わっていないのでシステム変更する理由にはならない気がする。

もっと何かあったけど出せなかったのかもしれない。
このチームへの理解がまだ足りないようだ。。

2点差の中での必死にもがくが。。。

2点差になっても仙台の選手は諦めず必死に戦っていた。
途中投入の松下から決定機を作っていくが決め切れない。

そして、この2点差になってからは選手個々で戦っている感が増していく。
その中で確かに松下は輝いたわけだけれど、仙台としてはもう少しチームとしての形を増やしたいなと感じた。
決してバラバラというわけではないし、完全に引いた柏に対しチャンスも作っていたんだけれど…

仙台というと、ナベちゃん、テグさんからチームで戦う事。
チーム戦術の中で戦う事が多かったのでどうも、このアイデア出していこうが個人的にピンとこない。
それが、僕の中はでは印象悪く映る。

ま、それでも、長沢の決定機を作りだしたり何度も強調しているが、どん底よりは自分たちのやるべきことが明確になってはいるのだが…

最後に

もっと、チームとしてやるべきことを増やさないといけない。
と強く感じたゲームだった。

やっぱり、1個しかないという大きな課題と直面してたゲームだった。
そして、それが出来ないとアイデア出していこうになってしまうのも辛すぎた。
やはり、調子が良いチームと戦うとこうした課題が見つかる。
これを伸びしろと思えば良いのだけど、もう残り3試合しかない。

ようするに、木山さんと1年戦ったけど、やはりチームが作り上がらなかった。

ただし、いろんな要素があるのでそれが「仕方ない」で済ませられるのかはわからない。
そういう状況だからこそ、残り3試合は結果に拘って来年への道筋を見つけ出すべきだと思う。

ハイライト


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