2021年05月


スタッツ

スタッツ

スターティングメンバー

TACTICALista_20215291114

前半


4-4のブロックは崩されない!

リーグ戦2位の名古屋。
ただし、日程の都合で1位川崎と2連戦。
いずれも差を感じた敗戦だったため、順風満帆な2位ではないみたい。
もっと川崎との差を埋めなくては!という感じで進化の経路を廻る旅をしてる雰囲気を感じる。
2位のチームにもそんなことを思わせる川崎恐ろしい…

進化の経路をめぐる中でボールを持ちましょう。が1つのテーマに見える名古屋が
この試合もボールを保持して試合を進める。
左右で形は同じ。
IHが1枚下がって、CB+IHの3枚でビルドアップをする。
そして、ウイングや1列上がったSBにボールを預けてなんやかんやしようぜ。みたいな感じ。

TACTICALista_20215291114 (1)

TACTICALista_20215291114 (2)

ただ、仙台としては4-4のブロック外からの攻撃で4-4を破壊されてるわけじゃないので
危ないというシーンはほとんどない。

ただ、名古屋としても4-4の中でなんやかんやしてブロックを破壊しようという意思もないので外からのクロス攻撃でOKとみている。
そんな感じに見えた。
ということで、仙台としては外からのクロスを跳ね返せばいい。ということでそれを淡々とこなしていくことで「守れている」前半だった

即回収され可変できなくても決定機は作れるんだ!

「守れている」仙台だが、大外からボールは運ばれ押し込まれてはいる。
なので、セカンドボール勝負なのだけれども、そこは名古屋の3センターが頑張る。
特にIH。ボール保持時はビルドアップ隊で最終ラインにいるのにセカンドボールや、仙台保持に変わったところで前に出て圧力をかけボールを即回収する。
えぐいぞ。IH2枚。

なので、仙台はやりたい保持の3バック化する時間を確保出来ないので困った感じになるのだが、この日はそうじゃなかった。

圧を受けてもクバから皆川へのロングボールで陣地回復。
そして、皆川が体を張って時間を作る事でそこから攻撃にいけて単発であっても決定機が作れるので仙台としては保持出来なくてもいいんじゃない。という流れではあった。

そして、これをさっくり言っているが、4月にはクバにボールが渡ったら仙台の攻撃はターンエンドだったし、皆川も空いて背負えず何も出来なかったし、という状況だったのでこの1か月でみんな成長したんだな。とものすごく感動した瞬間でもあった。

相馬ゼルビア式4-4-2はチーム狙いかそれとも…

そんな仙台。
皆川のポスト及び左サイドから決定機を複数回作る。
右より左だった。
左で特徴的なのは右のマルティノスがオーバーロードして左サイドに入ってくる事。
そのために3レーンでの超圧縮。まさに相馬ゼルビア式4-4-2になっていた。

TACTICALista_20215291114 (3)

右にボールがある場合、加藤はそこまで中に絞らないのでたぶんチームの狙いというよりもマルティノス個人の判断だと思っている。

しかし、これが有効であって、28分のマルティノスが抜け出したかけたシーンもこの形で名古屋に対して有効だった。
また、中に入った時にマルティノスが守備もきっちりやってくれるため、スカスカの逆サイドにも展開されない。だから、チームの狙いにも見える。多分違うけど…

そして、先制点も非保持ではあるけどその形。
ま、もちろんマルティノスのタスクとしてIHの長澤を見るというタスクはあって、それはチームの狙いでもあるんだけれども、あそこの中央までついていくか。
というと微妙。やっぱり個人の判断かなと思っていて結果的に3レーンの圧縮からトランジションで名古屋を刺す事が出来た。まさに相馬ゼルビア式4-4-2であった。
まさか仙台で同じ局面を見れるとは思わなかった。

後半


IHの役割が変化したことで押し込まれる

後半も名古屋がボールを持って仙台を攻める形になる。
ただ、前半よりも押し込まれて厳しい時間が続く。
そうなったのは、4-4のブロックを破壊するためにIHがその楔として4-4の中で起点を作ったためである。

TACTICALista_20215291114 (4)

前半はビルドアップ隊であったIHだけれども、後半はビルドアップはCB2枚で実施に変更。
そして、IHを1列前に上げて4-4の中に潜り込んだためより押し込まれる。時間が続いた。

これで押し込んだためにクロスのターゲットとして山崎を投入し決めにかかる。
ただ、この時に柿谷を残すため4-2-3-1システムを変更。
これで、IHがポジション的になくなった事でこの4-4の中に潜り込む役割がいなくなり、
再び前半のように押し込み切れない時間になってしまった。
そのため、投入した山崎もなかなか輝く時間が無く仙台としては助かった変更となった。

残り10分気合と根性で跳ね返す

以前決め手に欠ける名古屋は最後の10分間3-4-2-1に変更しファイアーフォーメーションで仙台ゴールに迫る。

この時間、このシステムで輝いたのは途中出場の森下であった。

TACTICALista_20215291114 (5)

3-4-2-1のかみ合わせでフリーになるので、森下のドリブルからのカットインでや左サイド3枚という破天荒な攻撃に仙台はペナ中釘付けになり、決定機を複数作られるも
クバのビックセーブや吉野、アピのCB陣が体を張って跳ね返す。
最後は吉野が脳震盪で交代。シマオを入れて最後きっちりと〆てリーグ戦2連勝となった。

最後に

この試合主役はマルティノス。
良い意味でも悪い意味でも色々とやってくれるマルティノスだけれど、この日は守備もさぼらず良いマルティノスでこれが続くのであればスタメンでもいいんじゃないかと思うほど。
まさに、マルちゃんスゴイネー! であった。
ただ、あの圧縮はたぶんマルティノスの判断だと思うので咎められたら怖いのでそのあたりやはりもう少し矯正は必要かも。
でも、この日は上手くいったからいいんやで。というお話である。

しかし、マルティノスが出た試合は必ずマルティノス個人の話になってしまう。
これは恋なのかもしれないな。。。このブログ始まって以来の個人に追究だわ…

あ、これでリーグ戦久しぶりに連勝です。
相当苦労したけれどもようやくこういう状態まで持ってきたのはさすがの手倉森誠だなーと思う。
思ったより早く勝ち点を稼げるフェイズにきた。
ここからどんどん行こうじゃないか!(もちろん課題もあるけども)

ハイライト



スタッツ

スタッツ

スターティングメンバー

TACTICALista_20215252034

前半


狙い通りの先制点

対大分戦ということで仙台は4-4の中央閉鎖での撤退戦を選択すると予想した。
そして、その意図がわかるのは両DHの選択。
上原と松下を外し、フォギーニョ+富田を選択。
川崎戦と同じコンビということで4-4のブロックを組んで中央閉鎖を意識したように思う。

そして、その狙い通りブロックからカウンターで前半5分に先制。
DHの下田とシャドウの町田のポジションが被ったところをフォギーニョがボールを狩りカウンターへ。
氣田の時間の作り方、そして、空いたスペースへの赤﨑の入り方。プレスバックとCBの足を止めるドリブルコースを選択。
そして、スルーパスに反応した西村が振り抜いた結果DFに当たってループ気味GKの頭を超えて先制。

これ以上ないゲームの入り方をしたのであった。
正直先制すれば勝てると思っていたのでこりゃもらったと思ったのだが、、、


定石で殴られる

ところがだ、想定通りに行かない。配置で殴られる。
これも想定外なのだけれども、仙台はなぜか先制点後に前から奪いに行って外されるシーンが多くなる。

TACTICALista_20215252034 (1)

仙台の前プレスの仕組みだとどうしても、大外香川がフリーになる。
それでも大外フリーになるのはこの守り方の払うべきコストだと思うのだが問題はシャドウ。
香川のクロスにシャドウがフリーになってしまい決定機を連続して作られてしまう。
これはまずい。そして、それは前プレスの時に氣田と連動して石原がWBにいってしまうこと。
これでシャドウをカバーする人間がいなくなってしまう。
そして、11分にやはり香川のクロスから町田がフリー。ボレーはクバがビックセーブで防ぐも長沢が押し込み同点。
ところで、長沢さん古巣に強すぎませんか?

4-4の中央閉鎖、攻略の定石大外から逆サイドへ持って行くという配置で殴られる。これは想定外。
大分も去年のアウェイでやった時に無かった対角パスがある。というのは大分の成長なので何も言うつもりもないけど、
それに対して仙台が大外とインサイドの優先度を決め切れてなくて、インサイドに穴が空くのは良くない。非常に良くない。
そのくらいは整理出来ていると思っていたので非常にガックリと来た失点だった。

なお、対角パスが飛んでくるのは大分の右サイド香川のみ。
左サイドの松本は対角パスが出せないようで左サイドは同サイドアタックで数的有利を活かしクロスまで持って行く展開が多かった。

TACTICALista_20215252034 (2)

ただ、この時サイドで数的有利を作るので長沢も左のインサイドまで流れるケースが多く、クロスを上げても渡辺or香川しかいない。
そして、仙台のSBは照山を使っていて本職CB。
なので、左からのクロスはほぼ安定して跳ね返す事が出来た。それは心強かったとは思う。


縦指向は意図的なのか?


そんなこんなでもう少し楽な展開で勝てると思っていたのが10分で振り出しに戻された仙台。
前半は保持も問題点ががあった。

大分は守備時前で奪うため5-2-3で前プレスをかけてくる。

それに対して仙台は息をつける場所が見当たらない。なので、保持局面をほとんど作れずトランジションで縦縦で殴るしかなくなっていた。
ただし、手倉森仙台は去年のように縦指向のチームか。と問われればNo.と返事する。
トランジションで殴りたくなくて、本来は3バックに可変して保持から秩序を保って戦うチームだ。
なので、この日の前半の姿は理想的じゃない。
ただし、大分の3トップの前プレスに対して可変する時間も与えられない。(3トップに対して3バックで数を合わせる無意味だけれど)
また、DHが富田とフォギーニョと上原や松下が不在でリズムの変化もつけれないので
仙台は持てば縦へ。という攻撃しかできない前半だった。

ただし、皮肉にもこの縦しかいけないこと。そして、縦指向は今の仙台のやりたい事じゃないので、
ほとんど大分陣地にボールを持っていけず仙台は押し込まれた。
ただ、この押し込まれた事で逆転されなかったとも言える。
中途半端に大分陣地に運べるとその後奪われてカウンターを食らう。
まさに1失点の時がそうだったように、氣田が運んで袋小路。奪われてあとカウンター。
そうするとSBの戻りが遅れてシャドウがフリーになって、、、という感じで同じ構造で失点してた可能性もある。
自陣脱出できない事は不幸中の幸いだった。
そして、そんなこんなでで1-1。同点で折り返せたことも仙台としては良かったと思う。

#ようするに、仙台追加点を許さなかったのは自分たちが修正したからじゃない。というお話。


後半


普段通りに戻りボールを取り上げる。

仙台は後半いつもの姿に戻り縦指向を止める。
上原役をフォギーニョにやらせて、フォギーニョが落ちて3-1-4-2の形で保持する。
最初、なぜビルドアップ隊を数的同数にするんだよ!と突っ込んだものの上手くいったからいいのである。
この辺りはたぶん、大分の嵌め方があまり良くないのだとおもう。

また、照山から真瀬に変わったことで、SBが外、SHが中とハッキリとしたのもいつもの通りに戻った要因である。
照山の中絞りは守備時には良いんだけど保持時には効果的では無く時間が作れない要因のひとつになっていた。
そこを真瀬に代える事で大外タスクをSB、インサイドタスクをSHとハッキリとタスク分けが出来た。
そして、そのインサイドタスクのSHがDH脇に入ってそこで時間を作って殴っていく。

TACTICALista_20215252034 (3)

こうすることで、大分からボールを取り上げる事には成功した仙台。
概ね後半仙台ペースでゲームは進む。


勝ち越し点は普段通りの延長上。そして、加藤。

65分に氣田に代えて加藤を投入した。
この人の入れ替えでさらに仙台ペースになる。
加藤を入れた事によって氣田よりボランチ脇で時間を作れる。氣田はボランチ脇で受けても前を向いて仕掛けてしまうの時間は作れない。
もちろん、仕掛けたほうが怖い時もある。ただし、この大分撤退時の守備はあまり良くない。
なので、ゆっくり時間を作りながら攻めたほうが効果的であり、そういう意味で加藤が時間を作るのは急所であった。

そして、やはり得点もその加藤のボランチ脇で受け時間を作ったところからゴールが生まれた。
さらに、おまけで氣田より空中戦強い加藤。右からのクロスにドンピシャで合わせられる。
これが追加点のお話。
後半の狙い通りの得点で仙台が勝ち越しに成功する


死闘

ここからが死闘だった。大分は直後から綺麗な配置アタックを止めて長沢目掛けて雑に蹴り込んでくる。
これに仙台が必死に対応。

最初に石原と長沢が競ったところで接触。長沢が鼻血が出る。(多分折れてるはず)
さらに、大分は高さが重要とばかりに高澤を投入し高さを足す。

仙台はこれに対応してアピアタウィアを投入。5バックにして1点を守り切る姿勢を見せる。

しかし、長沢は高い。どうしても守れないがクバがビックセーブを連発しゴールを割らせない。
平岡も高澤と激しいぶつかり合いで頭部から出血。それでも気合と根性でピッチに戻る。

最後のロングボールを平岡がクリアしたところで試合終了。
仙台が2-1で激戦を制し2勝目を挙げた。

なお、最後クリアした平岡が直後倒れ担架で運ばれる。それほど最後の肉弾戦は激しく見ごたえのあるものであった。
まさに死闘であった。


最後に

最後の15分間はまさか大分仙台というカードここまでフィジカル勝負になるとは思わなかった。
ただ、この15分間選手は良く戦ってくれたと思う。
また、声は出ないものののこの日サポーターの力でホームカラーで染められたユアテックスタジアムはコロナ前の一体感ある雰囲気を作り出せた事が
この勝利を引き寄せたのでは無いかと思う。

サポーターは所詮サポーターであり試合の結果にほとんど影響なんてしない。
ただし、あのサポーター力でホームカラーで染められたユアテックスタジアムを見たら選手はサボれないよね。と
平岡のようにオールアウトした背景の要因の1つだったはずである。
そして、オールアウトしなかったらこの勝利は無かった。
ようやく、手倉森誠を旗印にコロナ禍で一丸で戦い方がわかってきた仙台だった。

ただし、内容を振り返るとそこまでポジティブではない。
4-4に対して定石の攻めで「てんやわんや」になる脆さがある。
これは改善しないといけない。このほかにもこのチームはまだまだやるべきことは多い。
それを認識したゲームであったのも事実だった。


ハイライト



スタッツ

スタッツ

スターティングメンバー

TACTICALista_20215192224

前半


仙台の保持と狙いと進化

試合前、この日はボールを持たない方が勝つと思っていた。
お互いに4-4のブロックは強度が高くミラーゲームとなるので噛み合う。
だから、奪ってカウンターがお互いの攻め手に予想していた。


ということで、如何に持たないか。それが重要だと思っていたのだが、
仙台はそれを裏切る。
仙台は保持はDHが1枚下がって3-1-4-2の形でボール保持。
狙いは、DH、CBを引き出し、その裏を狙う事だった。
左サイドの仕組みは、吉野が運ぶドリブルで様子を見る。もし、DHが食いついてきたら(実際食いつく事が多かったが)
この時関口がDHの空けたスペースに入ってくるのでCBが引き出される。
それを見越し、1列落ちたDHの上原へ戻して彼のロングボールでその裏を狙う。

TACTICALista_20215192226

というのが仙台の一つの狙い。

もうひとつ左の仕組みはもう少し違っていて、氣田が中に入る事で、SH+DHをピン止め。
ピン止めして前へ出れないので空いたスペースを平岡が運ぶドリブルでスペース利用。
そこから展開する。

TACTICALista_20215192226 (1)

そんな感じで仙台のボール保持に対して福岡の4-4のブロックという構図になった。
そして、それはほぼ互角。
仙台が論理的なボール運びからチャンスを作れば福岡は奪って速い攻撃を繰り出した。

福岡の狙いはロングボールでSB裏を狙う

福岡の狙いは至ってシンプル。
奪ってからSBの裏を狙って蹴る。そこにマリを走らせる。サポートには杉本がいく。
中に待っているのがメンデスと逆サイドのSH金森がペナに入ってクロスに合わせてくる。

TACTICALista_20215192226 (2)

そんな感じで仙台ゴールを驚かす。

前プレスでビルドアップはさせない

福岡の攻撃はロングボール主体だったが、地上戦を選択すると仙台の前プレスに苦戦。
特に飲水タイム後は、29分や31分のように仙台が前で奪いカウンターを仕掛ける時間となった。

TACTICALista_20215192227

仙台は2トップがボランチ基準の守備から、ビルドアップのCBに圧を掛ける。
そこからDHの渡辺にパスが出るのだけれどそこには、フォギーニョがガツンと行く。
WBにしても、金森が中に入りすぎてるので石原がSBのサロモンソンに圧を掛ける事が出来る。
そうやってまで奪ってカウンター。
ということが出来、給水タイム後から仙台が主導権を握る。
ひいき目に見ても素晴らしい内容だったと思う。がスコアをする事だけが足りなかった。

後半


福岡のターンになった理由

前半仙台が主導権を握ったが、後半は福岡が主導権を握る事になる。
福岡はシンプルにサイド経由の攻撃に切り替えてきた事が必要の要因。

TACTICALista_20215192229

図のようにシンプルに外から攻撃を始める福岡に対して仙台の守備ラインは下がる状況になった。
また、後半から仙台の前プレスが若干強度が落ち福岡の2枚のDHが時間を作れるようになり、
そこから保持の立ち位置を整えて攻撃が出来る。という感じ。
対する仙台は、保持するための立ち位置3-1-4-2に可変する時間を作れなくなる。
なので、前半と違い4-4-2のまま攻撃する事になるが、そうなると時間を作れず、また福岡にボールを回収され2次攻撃3次攻撃をを受けるようになる

仙台は一発勝負

ただし、仙台もたまに一発のパンチは繰り出せる。
ほとんどが縦縦勝負の攻撃であった。
しかし、相手は福岡個人の質はそれほど高くはないので仙台の個人レベルでも
クロスまでは行けた。そこがやはり昇格チームだなとも思う。
ところが、クロスをCBが確実に跳ね返していく。ようするにクロスを上げさせても中で競り勝てば問題ないという割り切り方だったと思う。
また、グローリと奈良に対して仙台は西村と上原なので、どう考えてもシンプルなクロスでは分が悪かった。

最後はコンセプトを守ったものが勝つ

お互いに交代枠を使い強度を保っていく激しいいい攻防だった。
しかし、最後はコンセプトを破ったものとコンセプトを貫き守ったものでは当然コンセプトを守ったほうが勝つ。

それが、アディショナルタイムのゴールシーンであった。
マルティノスが審判に抗議し中央に居座り守備をサボる。
福岡はそれを尻目にサイドに展開。マルティノスがいないので大きなスペースがあり
そこから仙台は守備がズレる。クロスにはかろうじて対応出来たものの、クロスのクリアがフォギーニョに当たり渡の前に転がりそれを決められた。
一度はオフサイド判定だったもののVARで覆されゴール判定。
そのまま仙台は力尽きた。

最後に

マルティノスで勝ち点1を得た水曜日。マルティノスで勝ち点1を失った土曜日。
と言えるのでは無いか。
ただし、やはり失った勝ち点1の方が印象は良くない。
確かにハンドがあったかもしれない。
だけれど、プレーは再開している。それなのにいつまでも抗議するマルティノスが悪い。
この試合中2日での試合だったわけだが、体力的にキツイ加藤やコンディションが完全じゃない関口らが必死に走って無失点で繋いだバトンをひとりの愚行でぶっ壊してしまったので罪が重いと思う。それが勝敗を分けたのだが当たり前の事。
やはり、彼を使うにはそれなりにリスクがあるということを再認識させてもらった。

ただ、嘆いても仕方ない。
前半見せたものは僕はポジティブなものだったし、結果には繋がらなかったけれど今の時期には十分な進化だったと思う。
何度も言う何度でも言う。このチームは進んでいる。間違いない。
なので、この負けは非常に痛いのだけれどもそれで道を見失うことなく進めばこの悔しさを晴らす時期は来る。そう思えるゲームでもあった。

ハイライト



スタッツ

スタッツ

スターティングメンバー

TACTICALista_20215142146

前半


狙いと話にならない失点

仙台はこの日前プレスを捨てて4-4-2で引き籠る事を選択した。
4-4で中央閉鎖し、外のレーンは好きにやらせるけれど中には入れさせないぜ。というやり方。

TACTICALista_20215142146 (1)

ただし、最初のアタックで簡単に中の知念に入れられ守備基準がズレ登里をフリーにしてしまい、クロス。それを小林に合わせられて失点。
仙台としては、4-4のブロックには入れない。という原則をあっさりと破られ点を取られた。
たった2分で失点。
いきなりこの試合暗雲が立ち込めてしまう。


守備の問題点、それでも失点しない理由

失点した後も仙台は劣勢。
攻撃から守備の切り替えが早く仙台は保持時に前に進めない事が多々あったこと。
さらに2トップの守備が機能しないことがその要因。
2トップは2-1のビルドアップに対して2枚平行にして立つが一体何を守っているのか不明。

TACTICALista_20215142146 (2)

CB、アンカーどちらにも圧がかからないコースも限定しない微妙な位置にいたので2トップの守備が飾りにしかならない。
なので、攻めのベクトルを限定出来ず苦労していた。

ただ、それでも失点しなかったのは、対三笘において、真瀬が縦を切り、中のカットインには中原が対応する
この二人の連携で三笘を完封した事が大きい。

また逆サイドは山根がクロスを上げられるものの中で上手く跳ね返し決定機を作らせない。
なので、支配されながらも我慢できた。

さらに浦和戦で課題になったIHと大外の出し入れでスペースが出来てしまう問題も、
この日はSHが中に絞って前プレス行かなかったこと。そして、IHに圧をかけたDHもすぐに帰陣することで中央にスペースを作らなかった。
なので、失点はせずに耐えた要因である。


皆川が体張って成立する攻撃

ホームでの川崎戦はボールを奪っても切り替えのスピードで上回れ守備一辺倒無かった。
このゲームでそうならなかったのは空中戦を使えたこと。
切り替え速い川崎でも空中にボールを逃がせてしまえば、仙台でも対等に立てる。
その立役者は皆川だった。
車屋と互角以上に戦えたおかげでボールを川崎の圧力から解放しフィニッシュまでいけたのである。
リーグ開幕戦や、ルヴァン開幕戦ではそれが出来ずにインパクトを残せなかった皆川だったが
ここで成長を見せた。前線で体を張るのは得意ではないだろうが懸命にそれを実行してくれた。
それがチームに勇気と勢いを与えた。


後半


省エネモードの川崎からゲームを動かす仙台

後半も流れは前半と同じ。
川崎は少しトランジションの速度を落としてゲームをコントロールしながら省エネモードで戦う。
リードしているし、過密日程の中で自ら激しくいって消耗するのは気が引ける。
だから、当然の試合運びだなわけだが、仙台は我慢し1-0のままゲームは推移していく。

もちろん仙台は守備にリソースを割いているため攻撃になった時に皆川は孤立している。
皆川は前半書いた通り奮闘していたが、それでも足りず孤立し奪われる。

なので、川崎としては問題ないと考えたのだろう。
ところが、ゲームを唐突に動かしたのは仙台だった。

ゴールキックから、この日本当に奮闘にしていた皆川が変わって入っていた塚川に競り勝ち氣田へ。
氣田が加速して3人を抜きフィニッシュ。
これは丹野に防がれるもののセカンド回収した中原が冷静にゴールを射抜き同点へ。

川崎としては事故った。という感覚。
ニュートラルのままゲームを支配していたはずなのに…
ギアいじったらローに入ってウイリーしちゃったようなゲーム。
流れは全く持って同点に追いつけるような流れでは無かったが…

塚川が落ちて3バック。そして、勝ち越し

追いついた仙台。

ただ川崎としては少しギアを入れて勝ち越しを狙うべくダミアンと遠野を投入。
相変わらず層が厚い。

勝ち越しゴールの場面は塚川落ちて3バック。
ここまで、IHが1枚落ちて3バック化していたがそれをアンカーに変更。
(個人的には2枚でもビルドアップ出来るので落ちる必要ないと思うのだけれど)

TACTICALista_20215142147

ただ、落ちるのがアンカーになったことでIH2枚が高い位置にいる。
それが同点ゴールに繋がる。

高い位置にいたIHの遠野が浮いたところにアピアタウィアが食いつき中央を空けてしまう。
そこに潜り込まれ三笘が素晴らしいフィニッシュで再び勝ち越す。

シンデレラタイムの終焉

しかし、残りアディショナルタイム入れて残り10分。
ここ数試合見ていても残り10分王者が王者で居られない。
シンデレラの魔法が溶けるように川崎も魔法が解け普通のチームになって対戦相手にチャンスが生まれる。
ただ、ここまでの試合は残り10分では複数得点差がありゲームが決まっている。

しかし、この試合は1点差ということでゲームが終わっていない。
そんな状況の中最高の地上戦を繰り出す。

TACTICALista_20215142147 (1)

アンカーの泣き所にSBの照山が入ってきて川崎の守備の軸。アンカーを中央から外す事に成功。
さらに空いたスペースをマルティノスが使い物凄いミドルシュートを放ち川崎ゴールをぶち抜き同点。


最後の最後に論理的でポジショナルなアタックを土壇場で繰り出す。
しかも、中に入ったのはSBなんだから物凄く現代的に見える。たまたまだけれど。
(ただし、入ってきた照山は現代的な選手なので彼の能力なのは間違いない)

最後に

劇的なゲームだった。
ここまで13勝2分0敗の川崎が1勝3分8敗の仙台に引き分けるとは試合前誰が思っただろうか
いや、試合開始2分で失点しているのでキックオフ後でもこの結末を想像できる人はいなかったとも思う。
浦和戦の宿題、インサイドと大外の出入りのところをきっちりと回答だしたのが素晴らしい。
もちろんボランチの2枚の個人能力に頼るところも大きい。
さらに、三笘を完封した真瀬及び中原。
特に中原はここ数試合でキャラチェンジ。
強度が上がってサイドをタフにシャトルランできる選手になった。
また、皆川も本文で書いた通りタフに競り合い攻撃の起点になることに成功。
こうやって選手に対して泥臭く必要なプレーをやらせる手倉森誠の強みが凄く出た。

スカッドが足りないと書いたばかりだが、この試合で8人もメンバーを変えて結果が出たのは今後にも大きい。

また、このチームは順調に前進したがこの結果がこの前進を加速させる事を祈るばかりである。

一方川崎は、過密日程の連戦でサクッと先制したので、ニュートラルに入れてゲームをコントロールしてたはずなのである。
ただし、1点は安牌なスコアじゃないわけで、どこかでギアを上げる必要があった。
ところが、ニュートラルからギアを上げるのは難しく
ギアいじったらローに入っちゃってウイリーしちゃうような事故なゲームだったと思う。
これだからサッカーは難しい。
もし、2分に先制してなかったらニュートラルにも入れる事がなかっただろうからこのスコアは無かったとも思う。簡単にサクッと点が入ったから余計に難しくなった。そんな気がする。

ハイライト



スタッツ

スタッツ

スターティングメンバー

TACTICALista_2021511012

前半


3-1のビルドアップに対して用意周到

さて、立ち上がり仙台のゲームに出来た。
仙台は対浦和の対策を組み込んでいて前から嵌める事に成功はした。
(ただし、見直したら思ったより浦和の立ち上がりが悪くて成功したけど浦和の状況がより良く見えたのかもしれないと思っているのは少し内緒な話)

TACTICALista_2021511014

ということで、3-1のビルドアップに対して西村+両SHで前プレス。
IH化する浦和の選手とウイング化する選手はSB及びDHで迎撃してボールを狩る。
また、ビルドアップ諦めて蹴ったボールも仙台が回収。
ここで仙台が2-3回チャンスを得たが決められない。最大の決定機は6分のスローインを奪って西村フィニッシュの形。
これを決められないのは痛恨だった。

浦和の修正でうしろに重くなる

飲水タイムちょっと前から浦和のビルドアップは少し変わる。
はっきりと変わったのは飲水タイム後だと思うが、
これは2トップが縦に並ぶのを逆に利用する。

TACTICALista_2021511017

ということで阿部が関口脇を使う。そこに対して仙台は誰も対応できずフリーになる。
そこから西が大外運んで押し込むのが1つ。
そして、もうひとつは、2CBの背後の意識が高かった武藤がハーフスペースで待機するようになりハーフスペースを刺されるようになりそこを起点にされるようになった。
そんな感じで3-1-2の迎撃システムは沈黙。
4-4-2の撤退モードが多くなり後ろに重くなり攻撃が出来なくなる。

ロングカウンターが無いのでまー押し込まれると難しいね。というのが今の仙台なので仕方ないかね。

後半


仙台の問題突き付けられる

さらに後半浦和は3段回目の進化をする。

TACTICALista_2021511021

3バック化。ただし、西がCBを務める3バック。2DHは中央じゃなくて距離を離してハーフスペースに立つ。
これは関口1枚を混乱させるだけじゃなくて、2トップで撤退した時にも2トップ脇から運べるようにする工夫だった。
さらに、仙台の問題点IHに対してDHが迎撃するシステム。
上の図は極端な状態を書いてるけども、DHが迎撃すると、中央が空く。そこを使われると仙台は死ぬ。

そして、そのスぺ-スから仙台は死んだ。
1.西から関根。
2.IH化した武藤が松下をいなしてターンし中央のスペースを使う。
3.上原は小泉(自分のマーカー)を捨て中央の空いてるスペースを守る
4.小泉がフリーになっている。そこにボールが入った時にCBが食いつくが後手
5.ワンタッチで武藤に戻されたのでCBが無力化
6.CBが空けたスペースを悠々と使うユンカー

という流れ。

仙台は4-4の中央閉鎖は位置基準だと思っていた(思い込んでいた)けど、
実は人基準だったので人がめくるめく移動すると混乱を起こす。
失点もはまさにそう。武藤が落ちる。小泉が逆サイドのIHに顔を出す。これですべてを破壊された。
ま、人基準なら武藤にターンされちゃいけない。っていうお話かもしれない。
そして、前節江坂に複数回ターンされてた松下。
1試合で伏線回収しなくても良いのに。

マルティノスの是非

失点した仙台は取り返すためにパワーが必要。
マルティノスと脳震盪明けの赤﨑を投入し同点を狙う。
で、そのマルティノス今の仙台では最大の個の力で間違いなくインパクトプレイヤーとなる。
実際にビハインドになってからチャンス。というかシュートに絡んだのはマルティノスのみ。
途中出場なのに、仙台で一番シュートを多く打ち3本ともゴールの可能性があるものであった。
もし、2本決まっていたらこの試合の英雄になれたかもしれない。
でも、本当にその評価でいいのだろうか。
それ以外のプレイは淡泊でセルフィッシュで味方なんて信じてないそぶり。
ま、実際に信じて無さそうなんだけども、フットボールは11人でやるスポーツであるし
手倉森さんは輪を大事にするしチームコンセプトを大事にする。
それを崩すものを嫌う傾向にある。
だから、マルティノスは評価を下げていったわけだがこの日も同じ淡泊でセルフィッシュだった。
たぶん、また評価を下げ使わなくなるかルヴァン要因になる可能性はある。
ただし、それで終わったら最大の武器を使えない事になる。それは困る。
クエンカが退団した今マルティノスまで使えないだと個人で勝負できそうな選手が消える。それで勝てるほど甘いJ1じゃないと僕は思っている。
絶対マルティノスは必要になる。それまでに気が付くか。
気付かせる事が出来るか。はひとつポイントになるのかなと思う。

最後に

負けた。
相手の変化についていけず、ビルドアップが嵌められない。という問題が1つある。
でも、嵌められなくても4-4-2の中央閉鎖で無失点で行けばワンチャンあったかもしれない。
これが仙台の勝ち筋。
でも、最後の砦4-4-2の中央閉鎖を真ん中ぶっ壊されてわ勝てない。
という話だった。
人基準でどこまでやれるか。なかなか大変だけれどもでもまー個人的にここ数試合はこれがばれなかったので良かったけど、この試合でばれたので大変かもしれないし、そうじゃないかもしれない。
それと、もうひとつ人基準ならもっとハードにいかないといけない。

あそこでターンさせたらいけないよね。っていう松下の強度の問題かもしれない。

どう改善するかはひとつある。
ただ、僕はこの試合みて進歩を感じた。4-4-2のブロックで我慢しましょうしかなかった4月。
5月に入って徐々に前から嵌められるようになっている。

相手のプランAに合わせて自分たちのプランAを組み立てられるようには見える。
ただし、この日の浦和のように変化されると対応できない。
ま、チームじゃなかった3月。2か月でそこまで対応しろっていうのは無理だから割り切るしかないね。と思っている。
まずは、相手を見てプランを立てられるようになった事を喜ぶ事が今やるべきことかなと。
勝てないけど、進歩してるならば良しとしたい。というのが今の気分だね。


ハイライト


↑このページのトップヘ