2022年05月


スタッツ

スタッツ

スターティングメンバー

TACTICALista_20225312039

前半


栃木が主導権を握った2つの理由

栃木が前半圧倒した。
その理由はなにか。

まずは、序盤から整理していきたい。
立ち上がり仙台は若狭を中に入れた3バックでビルドアップしようとした。
ただ、これは3トップ+2ボランチが人に食いつく守備で栃木が仙台に圧を掛ける。

TACTICALista_20225312042

この対応を見た仙台は4-2のビルドアップに変更。
ただ、栃木はこれも瀬沼と矢野貴章を2トップにしてCBを監視。
SB若狭を植田が変則的な位置からケアする。2DHの対応は変わらない。

TACTICALista_20225312043

とこれも栃木が対応。

そして、ボールを奪うと、SBの後ろに放り込み、矢野貴章を走らせ起点をつくる。
そして、そこからクロスを放つと逆サイドから瀬沼が突っ込む。

TACTICALista_20225312044

という攻撃で仙台を自陣に押し込めた。

また、20分すぎになると、鎌田のDHが中央にスペースを作ることがバレてしまい
SB裏へロングボール大作戦じゃなくて、普通に栃木のボランチ経由から中央突破みたいな形を作られてしまって押し込まれしまい中々大変だった。
ただ、鎌田を使ったのはそこは目を瞑ろう!

でも、鎌田と中島なんだから栃木の圧を外せるだろう。みたいに考えていたのだと思う。
たぶん。。。

栃木が良い?いや仙台が悪い

上記の対応で栃木がいいのか。
というと、多分仙台が悪い。それはなぜか。

この日は栃木の圧を受けながらもきちんと両DHにボールを届けられていた。
なのに、ボールを前進できないのはボランチからボールを受け取った時に次のラインと繋がれない。

この日栃木のボランチが人に食いつくので、CBとボランチの間にスペースができる。
そこを誰がどうやって使うかがイマイチはっきりできていない。
2トップはCB2枚のところに張り付くし、遠藤は中に入ってそのスペースを使おうと意思を見せる。
ただ、ボランチから引き取っても遠藤は孤立。
次に繋がる人とコースが無く詰まってしまう。氣田はこの日大外にいることが多く、
ということで、栃木の両DHの開けてスペースを使えない。

TACTICALista_20225312041

ということで、ボランチが前を向いてボールを持てたのに次がない。
という今シーズン初の状況に陥ってしまった。

なので、仙台が良くないわけだ。
せっかく、中島と鎌田と二人ボールを持つ選手を使ったのに…切ない。

後半


解決策は遠藤康

前半に言ったようにこの日はボランチまではボールが届いている。
ただし、ボランチから次につながらない。

じゃー遠藤を中央に置いてフリーマンにしてボランチと繋がれば良いんじゃないか。
というのが、仙台の考えたこと。

これが正解だった。
栃木の守備をずらす事に成功。

そして、やっと主導権を握り返す事に成功。何度も言うけどやっぱり遠藤のポジションを取る正確性はエグい。

そして、今年の仙台は良くなった時にきちんと点を取り切ることだと思う。
CKのセカンドボールを中島が広い運んでグランダーのクロスに若狭がニアで合わせて仙台が先制。

矢野貴章は衰えない

その後も仙台が決定機を作り続ける。こうなったら仙台は止まらない。
はずだったのだ。
ただし、立ちはだかる川田。2点目とったらゲームセットだっと思うがその2点目をスペシャルなセーブで守るとゲームは終盤まで縺れる。

栃木は瀬沼、矢野貴章、そして途中出場の一瞬だけルーニーになれるトカチ。
一発ある選手が多くて油断ならないとおもったら、スローインからトカチが起点を作って森のクロスから平岡の頭の上から叩き込む矢野貴章。

仙台は怪我明けの石原をサイドハーフに置いたけど、少し下がりすぎて5バックとか6バックに近いかたちになったのは反省点。

ただ、矢野貴章が素晴らしい。
前半起点作りに走り回って平岡の体力を削ってヘロヘロにして、そして勝負どころで平岡の頭の上から叩き込む。
矢野貴章 38歳 衰えない。それどころか1番走る。そして、強度を落ちない凄みを感じた。

諦めない気持ち

追いつかれた仙台。
でも、フォギーニョが鼓舞し、小畑も声を出し闘志を出していく。
誰も下を向かない。

誰も諦めない。

そして、最初に鼓舞したフォギーニョのミドルシュートがCKになり、
そのCKゴール前栃木がクリアしきれなかったのを見逃さない皆川。
誰よりも速く反応しゴールに押し込み仙台が勝ち越し。

やっぱり、勝っているチームというのはこういうアクションができ結果がでる。
好循環に入る。これが勝ちグセというのだろう。
去年とはまるで違うのがすごいなと。
ここまで変わるのが凄く驚きである。

残りのアディショナルタイムは仙台が守りきり
2-1 苦しいんだゲームを勝ちきって5月の最後の試合を締めくくった。

最後に

皆川と富樫の2トップはちょっと役割がイマイチ決まらなかった事がぐでぐでになってしまったかなと思う。

この2人のコンビはまだ浅いのでこれからの部分もあるだろうからこれからなのかなと。
富樫+カルドーゾほど役割が決まっていなかった。
富樫が去年の赤崎タスクをしたわけでもないし、皆川が体張ってポストをしたわけでもない。
高いDFの裏を狙うでもない。
と中途半端だったかなと思う。
もちろん、思ったよりグティエレス相手に苦労したというのもあるのだろう。
あそこでキープできると思っていた可能性もある。

そんな中で遠藤が中央に入って改善するのは流石である。
それと鎌田は長崎戦もそうだったけど、チームが良くなったところで変わるということで少し可哀想な気もするが先制して守備を立て直すという意味では仕方ない部分はある。

ただ、なんか知らなけど改善せず、守備はずっと変だった。
それが実は失点に繋がるわけだけれども、、、

でも、そんな中でも勝ちきれるタフさを見せたのは良かった。
とにかく前半が悪すぎたのでそこは改善の余地ありだと思う。

そして、次の試合から6月。まずはミッドウィークの天皇杯。
どういうウェイトでどういうメンバーを使うか。全くわからない。
ただ、個人的にはこのチームでJ1にどれだけ通用するかみたいので勝ち抜いてほしいのである程度勝ち進むメンバー意識した方が良いかなとも思う。

その一方で次も面倒くさいジェフ。
そして、徳島、横浜FC、山形と試合数は少ない6月だけれど濃厚な相手が続く。
なので、天皇杯を軽視してもしゃーないのかなとも思っている。

どうマネジメントしていくかも原崎さんの采配が楽しみである。

ハイライト



スタッツ

スタッツ

スターティングメンバー

TACTICALista_20225242157

雑感

前半
まずこの試合特徴的だったのは最終ラインの保持。
この日2CBが広がり中央にGKの小畑を入れて3枚でビルドアップ。
DHは最終ラインにおりない。

大宮は2トップがボランチを監視して、最終ラインにはボールをもたせるけど先には進ませない。という意思が見える。
ボールを仙台から取り上げないけれど、ゴールへ進ませないぞと。

ただ、プレススイッチはSBに入った時に入ってそこで奪おうとする。
スイッチを入れた時に仙台はDH-SH-SB+遠藤で外していく。

前半6分のプレスを外して最後は若狭のフィニッシュは見事なものだった。
ただし、20分のようなテヒョンからSHへの縦パスを奪われて決定機を作られるシーンもあって
内容は互角。

仙台は16分のテヒョンからロングボールを蹴って内田のクロスから名倉が決定機で
これが得点の伏線。

大宮が前に意識あるときに裏のケアがが緩くなる傾向にある。
ということが、29分の得点を生んだ。
もちろん、大宮の連携ミスは大きかったのだけれども。。。

追加点は珍しくCKキックから生まれる。
この日のCK、大宮はゾーンで守るので逆手をとってゾーンの外ニアの若狭をターゲット。
ゾーン外で触れて混乱を生むのが狙い。
4回あったCKはすべてゾーン外の若狭ターゲット。間違いなく仕込んでた。

2点目はものの見事それがハマって若狭フリックから富樫が合わせて2点目。
無理せず2-0になったのは大きい。

その後流石に大宮が攻撃にウェイトを置く。
中心は柴山だけれど、若狭が抜かれず、クロスを送るだけには限定できる。
クロスは平岡がひたすらに跳ね返す。ポジション取りの速さがえぐかった。

後半
後半は仙台は前半良かったDFの裏を狙う。
だけど、狙うタイミングが早すぎて大宮はまだ裏への意識がある状態なのでうまくいかない。
もちろん、ロングボールからスローインで押し込んだり、セカンドボールを拾って2次攻撃もできるのだけれど、ロングボールを送ることで間延びしてしまったし、
何より前半のようには流石にうまくいかない。

そして、間延びして、攻撃に両ボランチが参加したところ横パスがずれカウンター食らって失点。
自ら負け筋を作る。
ロングボールは毒まんじゅうでした。と

そこから少しパニック状態で大宮のターンになるが、そこを耐えて3分程度でリカバリ。
落ち着くと、イケイケの大宮はボランチがガンガン前に来る。
なので、DFとDH間が空くのそこを狙う。
実際3点目はそのスペースに蹴って富樫が頑張って奪い返したところから
フォギーニョの得点で3点目。
フォギーニョ2試合で3点目。まー両ボランチを最終ラインに下げない恩恵はここにも現れていると思う。フォギーニョがペナ付近で力を発揮できるのでそりゃもう止められないわ。

この得点で勝負有り。
この得点で氣田と遠藤はお役御免。連戦の頭で休ませる点差になったことは今後につながる。

この得点で大宮は徐々に間延びしていく。中2日で体力の問題もあるだろうけど
SH2枚を柴山と泉澤になったことでより前により間延びした状態になる。

中盤のフィルターが効かない大宮に対して仙台はボランチが自由にできるので
結構やりたい放題。
そして、内田のタッチラインからのクロスをカルドーゾが合わせて4点目。

ただ、その後間延びした殴り合いにお付き合いし5点目の可能性もあったけれど
逆に失点し4-2で試合終了となった。

最後に

金沢に引き続きこの日のビルドアップも良くチームの成長を感じる内容だった。
失点は目を瞑ろう。と個人的には思うけれど
流石に原崎さんはちょっと改善したいね。という内容のコメント。
まー負け筋を自ら引いたから当然だけれども。

久しぶりの現地で勝利の試合を見たけどこの試合一番感銘したのは
切り替えの速さ。3点目に特徴がよく出てるけれど、ロングボールを一度大宮ボールになっている。
ただ、納めるために動いた富樫がプレー辞めること無くチェイスに切り替え奪い切る。
ひとつのプレーの延長線上に次のプレーがあるイメージ。

なので、プレーが途切れず切り替えが早いのだと思う。
なんだかんだ、金沢戦もこの大宮選も、振り返れば琉球戦もこの切り替えの早さで殴ってる。
ここがJ2の他のレベルと段違いにみえる。(今節の新潟もエグかったけど)
逆にいうと、これを感じなかったヴェルディ戦は強度が落ちたコメントはそういう事なのだろう。とも思う。

まー連戦だとこのスピードが落ちていくのは仕方ないけれど、
でも岡山には勝ちたい理由がある。
なので、頑張ってほしいなーって思うんです。

ハイライト



スタッツ

スタッツ

スターティングメンバー

TACTICALista_20225172312

前半


2-2でのビルドアップと遠藤のサポートで前進する

GWの5連戦が終わり、ようやく1週間の休みがあった。
5連戦は4勝1敗とまずまずな成績ではあったが、やはりビルドアップのところに大きな課題を残しボールを持てなかった。

なので、そこに手を入れた1週間だったように感じた。
まず、この日真瀬の変わりに右サイドバックのところに初めて若狭が先発で起用。
最初、若狭を使って可変の3バックでビルドアップするのかと思ったが、それは違っていて
この日は2-2のビルドアップを実施。
金沢は2CBを放置し、DHに対してCBから刺されないようにパスコースを消す立ち位置を取る。
ところが、仙台はこれをトップ下と言う名のフリーマン遠藤が解決していく。

TACTICALista_20225172312 (1)

2トップ脇まで下がりCBからボールを引き出し、ボランチに預ける。
ボランチが前を向いてボールを持てれば仙台は好きなようにでき、あとは自由に相手の狭間、狭間をとってスムーズに攻撃できた。

氣田の新たなタスクと進化

また、ボランチが前を向いてボールを持つ工夫がもうひとつあった。
ここまで、仙台の両サイドハーフは中、ようするに「ハーフスペース」に立ち
最後の崩すところに関与することが多く、あまりビルドアップには関わらなかった。

ただこの日はそれだけじゃなくて、ビルドアップに関わる工夫があった。

TACTICALista_20225172313

氣田が低い位置(大体ボランチの高さよりちょっと高い程度)の大外に位置してボールを引き出す。
そして、少ないタッチでボランチへの横パスを入れるとボランチが前を向いてボールを捌けるようになる。

この氣田の新たなタスクは氣田だけのものであり、逆サイドの名倉はその動きはしない。
というのが今後どうなっていくのか。
この間の左SBを中に入れる3バック+真瀬の布石なのか。どうなんででしょう。今後が楽しみ。

ボランチが前を向いて前進と中島のゴラッソ

ということで、仙台はGW連戦とは違いビルドアップがうまくいってボランチが攻撃参加できることが多くなった。

ただ、最終ラインがなかなか攻略できないのと、相手の保持に対応できなくてボールを奪えないということで、ビルドアップがうまくいったのにも関わらず互角の展開だった。

最終ライン攻略のところはもしかしたらまだ氣田がビルドアップから最後の崩しのところで自由になることができなかったのかなーと思う。
このあたりはまだまだこれから。新たなチャレンジですし。

ただ、その展開を壊すように38分に中島が見事なFKを突き刺し仙台が先制し、ほぼ互角な展開であったのに仙台が先手を取って前半を終える。

後半


仙台の守備は中央で奪ってトランジション速度差で圧倒する

さて、まず後半仙台が主導権を握るわけだけれど、そのまえに
前半の復習をしないといけない。

というか前半で触れなかった金沢の保持でについてである。

金沢の保持は4-4-2から藤村アンカーで左サイドハーフの平松とボランチの小野原が
インサイドハーフのような立ち振舞をする。

TACTICALista_20225172313 (1)

これを前半は捕まえきれない仙台であった。

ただし、後半はこれに対して仙台は4-4-2で狭く守る。
なので、大外はある程度前進を許したためクロスまでいかれるシーンは多かったが
単純なクロスは跳ね返せるので、大外は無理して守備をしない。
ただし、真ん中自由にさせない。
という立ち位置を取った。

TACTICALista_20225172313 (2)

そしてこの中央でボールを奪う回数が増える仙台。
この時に切り替えのトランジション速度差があって、金沢の攻撃から守備の切り替えが遅く仙台が自陣で奪ってもそのままの勢いでカウンターへいける。

50分に松田の縦パスを奪った内田から小気味よくボールを回し素早く相手陣内に運び、
最後は遠藤のシュート。これはブロックされるもののこのセカンドボールをフォギーニョが拾って来日初ゴールを決める。

また、62分には藤村からフォギーニョが奪いこれも自陣からカウンター炸裂。
遠藤のクロスにフォギーニョが合わせて3点目を奪いゲームを決めた。

貪欲にオプションを増やそうとするが。。。咎められる

いや、決めたはずだったのだ。
ただ、ここからが良くない。3-0になったことで遠藤と氣田を下げてカルドーゾと鎌田を投入。

TACTICALista_20225172314

中島を左サイドハーフ。鎌田をボランチという新たなオプションを試す。
ものすごく貪欲な原崎監督。

ところが、この交代と3点差になり最終ラインが下がりすぎたことで仙台は歯車が狂っていく。

最終ラインが上がりきれず、2列目のポジションも不安定になる。
時に最終ラインに吸収されてしまったり、時に両ボランチが前に出すぎてライン間を狙われたりし、金沢が保持する時間となる。

また、カルドーゾも味を締めたのか背負ってボールを収めたあと独力で前を向いてボールを進めようとする。
これを止められるのでカルドーゾでボールを失って相手のターンになり、
相手のターンになると前述の通り仙台のブロックが安定しないのでゴール前まで運ばれる。
という悪循環。

また、クロスは安定して跳ね返せていたが、丹羽詩温の登場でクロスに合わせ危ないシーンもつくられ完全に金沢ペース。
慌てて、皆川と吉野を投入。また、中島をボランチに戻し鎌田をサイドハーフにするのだけれど、その直後CKからGK小畑のミスもあり、松本に決められ2点差に。

しかし、今の仙台はここから盛り返す力がある。
皆川がロングボールを収め、中島が足を攣って変わった加藤が豊富な運動量でエナジーを与えることで仙台は完全に復活。

トドメは加藤が奪ったボールをカルドーゾが運んでクロス。皆川がフリーで合わせて4点目。
最悪な展開から結果が出てほしい選手に結果が出る最高の展開になった。
仙台はノリノリ。まだ終わらないし、守る切るつもりなんてひとつもない。

アディショナルタイムに鎌田の素晴らしいターンからカルドーゾのクロスから若狭が押し込み5点目と思ったが
これは奥で皆川がDFをブロックしておりプレーに関わったということでオフサイド判定。

最後はテヒョンが自陣で鹿島って試合終了。
他チームの結果もあり仙台は遂に首位に浮上することになった。

最後に

GWの連戦で結果に囚われずきちんと課題に対して解決策を持ってくるのは本当に素晴らしい。
今日はボランチに預けるところまで久しぶりに良かったと思う。
前半金沢はプレスはやらず、ボランチへの縦パスを消す配置。
これはうまくいかなかったので後半ミラーでの人を捕まえるプレスを実施。
これも仙台は遠藤を使い回避する。

ということでこの日、ビルドアップに関しては良かったんじゃないかなと思う。
しかも、今後への拡張性も感じるので、これで終わりじゃないという感じで貪欲なのがさらに良い。

また3-0になってから遠藤氣田を休ませつつ中島の左サイドハーフで試したり
鎌田ボランチで試したりとこれも貪欲。

ただ、それでうまくいかなかず流れを渡してしまって楽勝ムードから一気に暗雲が立ち込めたのだけれども、今の仙台はその程度は跳ね返せる力強さがある。

しかも、結果が欲しかった皆川がゴールを決め仙台としては最高の展開となった。

ハイライト



スタッツ

スタッツ

スターティングメンバー

TACTICALista_2022512213

はじめに

久しぶりに「はじめに」ありバージョンを書く。
時間無いのに書きたくなった。

長崎と仙台は血を分けた兄弟だと思っている。
長崎が20年シーズン勝ち点80を稼いでも3位で昇格できず、手倉森誠を解任。
その後すぐ仙台の監督に就任。

そして、氣田、富樫、名倉etc…長崎から血を分けて(奪った?)もらって新たな仙台が出発した。
21年降格し、手倉森誠は解任されたものの物語は続き、原崎さんが続きを描くことになる。

一方の長崎は21年吉田監督をシーズン途中で解任。そして、松田さんが監督に昇格。
去年は松田監督就任後驚異的なスピードで勝ち点を獲得していったものの勝ち点78で4位となり、今年松田監督継続で昇格1番手になったのだけれどここまで苦戦。

保持がしたいのだけれど苦しんでいる長崎。
一方、原崎さんで保持というかロマンに切り替えて結果を出しつつある仙台。
というちょっと皮肉(?)な事象が起きている。

長崎から見れば20年の続きが仙台なのかもしれない。

そんな血を分けたもの同士の対戦だった。
だからこそ、試合後少し遺恨が残るわけだけど。

前半


主導権を握る長崎の保持仕組み

ま、そんなストーリーを展開しながらも、中身はいつも通りにやります。

長崎は前節盛岡戦で今シーズンのベストゲームで快勝。
そして、盛岡戦スタメン組を松田監督は「サブ組」とハッキリと断言し今日のスタメン組に期待を託す。

そして、期待に答え序盤主導権を握ったのは長崎だった。

長崎は変則の3バック。左サイドバックの奥井が中に入り3CB化。
数的優位を作り時間を稼ぐ。時間を稼ぐと、二見、奥井から高精度の対角パスが飛んで行き
左サイドの加藤-米田へつける。
この二人は真瀬に対して2vs1の対決を優位そのままに左サイドからチャンスを量産する

TACTICALista_2022512214

このクロスに仙台はCBが踏ん張り、決定機を作らせない。
また、決定機を作れない理由に優位な左サイドの逆サイドクリスティアーノがこのゲーム絡めない。
これは、奥井がCBに入ったため、左の幅を作る役がクリスティアーノになっており、
大外を離れられない。
なので、仙台はファーサイドのケアをせずによくなる。
そうやって限定できれば仙台は同サイドアタックからのクロスは跳ね返すことができる。

それと、クリスティアーノは左サイドでクロスマシーンに徹する。
彼の良さは得点力、シュートのパンチ力だと思うのだけれどそれを活かすようなタスクを与えていなそう。
このあたりバランスなのだけれど少しもったいない気もした。

というのが、長崎に対する感想。ここは今年ずっと苦労している。
ま、なので、長崎のボール保持に対抗する手段は見つからないものの最終ラインで跳ね返せるので、大丈夫。という前半だった。

仙台も保持するのに工夫するのだけれど。。。

仙台の保持について。
この5連戦実はボールを保持、ビルドアップを頑張っているがうまく言っていない。
そして、この試合も同じだった。

今日も3バック化だけれど、いつもと違い内田を中に入れて3バック化。
3-2でのビルドアップをする。

このあたりは、3-1のビルドアップがうまく行かないから手を入れた感じはする。
なお、その結果長崎と同じビルドアップになるというのが皮肉ではあるが、

内田がボールを持って前進する事は可能だったのだけれど、ボランチに入れたところで
2トップ+2DH のプレスバック&プレスがありミスが多くボランチでいつものようにボールを捌くことができなかった。

TACTICALista_2022512214 (1)

もちろん、この日暑さもあるだろうし、疲労もあるだろう。特に判断の部分は落ちていたとは思う。

ということで、この日はボランチまではボールを届けることができるもののボランチから先へいけない。

攻守に対して効果があった遠藤と鎌田のポジションチェンジ

前進するのに苦労していた仙台なので修正をする。
24分に鎌田と遠藤のポジションチェンジ。
遠藤を硬いボランチ2枚から遠ざけてサイドで起点を作るのが狙い。

TACTICALista_2022512215

そして、その直後にそれがものの見事に得点に繋がる。
遠藤が時間を作って真瀬が裏へ。そこかのクロスを上げるもののDFにぶつかり
再び遠藤の元へ。遠藤はファーサイドへクロス。それを内田が折り返し中央フリーだった富樫が押し込みシュート1本目がゴールに繋がり仙台がこれ以上ない形で先制に成功。

そして、守備でも少し手を加え長崎の優位を少し切り崩す。
遠藤を加藤聖に、真瀬を米田にと人基準の守備にすることで、サイドチェンジされても捕まえている状況を作る。

そして、そもそもサイドチェンジされないように、富樫と中央に回った鎌田が数的降りでもCBを追いかけ回しサイドチェンジされる時間を消しに行く。

TACTICALista_2022512215 (1)

ただ、数的不利で勢いが大事なのでどうしても完璧には防げないのだけれども
立ち上がりよりはマシという状況を作り出す事に成功。

前半は1-0仙台リードで折り返す

後半


仙台の修正追加で主導権を握り返す

仙台は前半途中の修正にさらに修正を加える。
まずは、可変3バックに対して氣田を加えて3vs3の同数プレスを仕掛けサイドチェンジをさせる時間を消しに行く。
そうすると、クリスティアーノが落ちてサポートに行くのだけれど、それにも内田がついてボールを進ませない。これで仙台はようやく完全に制限を掛ける事に成功する。

TACTICALista_2022512216

長崎の苦悩

攻撃手段をかき消された長崎は、なんとか追いつこうと攻撃に工夫をする。
米田とクリスティアーノを入れ替えてクリスティアーノを中央に、そしてゴールに近く置いてクリスティアーノの力を借りて同点に追いつこうとする。

TACTICALista_2022512216 (1)

ただ、これは時既に遅し。
クリスティアーノまでの経由が仙台によって絶たれてしまっており中に位置したクリスティアーノまでにボールを供給できない。

なので、結局クリスティアーノの役割は低い位置でボールを受けて逆サイドチェンジをするだけに留まる。

なので、クリスティアーノが直接ゴールを奪えそうな場所ではほぼボールを持てなかった。
結局、66分に選手交代と同時に右サイドに戻る事になる。
この中央に配置は前半ならクリスティアーノに配給できたので効果はありそうだったのが悲しい。

そして、長崎は最後は72分に都倉を投入しシンプルにクロス爆撃から圧を掛けていく。
それに応じて仙台も若狭を右サイドバックに置き対抗し、クロス爆撃を耐える。

消耗とカルドーゾイケイケ大作戦

徐々に両チームとも疲労の色が濃くなっていく。
仙台は、55分にカルドーゾを入れてカルドーゾからのカウンターで少人数で攻める。
通称:カルドーゾイケイケ大作戦を実行する時間が増えていく。

カルドーゾの充実っぷりを証明するかのように、このカルドーゾイケイケ大作戦は4回実行して2回決定機を作る。
そして、アディショナルタイムにカルドーゾイケイケ大作戦から自陣から猛ダッシュした氣田がカルドーゾからのスルーパスを受けペナ内で二人はずしてフィニッシュ。
勝利を決める2点目をゲットとなった。

この時79分から出場の皆川が自陣ペナから相手ペナに走っていくのだけれど、ゴールが決まったシーンで膝に両手を付いて肩で息していて、
この5連戦が、そして、この日27度と暑かった過酷なゲームを象徴とするシーンとなっていた。
それなのに、最後まで走りきった氣田は本当に価値あるゴールだった。
試合はこのゴールで終了。仙台が悪いなりに勝ち点3をゲットした。

最後に

ということで、富樫、氣田の元長崎所属の選手が自身の成長を示す2ゴールで勝った仙台だったけれど、2019年のお互いのチームの選択が違っていたら、
(お互いというか、長崎の選択か)

この内容が逆で長崎の氣田、富樫の2ゴールで仙台に2-0で負けていたかもしれない。
そんなお互いの歴史が交差したゲームだったかなと思ってしまう。
そして、こういう結末を迎えるのだから皮肉っていえば皮肉だと思う。

この仙台の姿が21年とか22年の長崎だった。という世界線も確かに存在したはずだから。。。

そういう目線でも面白いゲームだった。

仙台は過酷な5連戦(九州遠征2回もある)を4勝1敗で乗り切り、
この5連戦始まる前に勝ち点差9あった横浜FCに追いつき抜いて2位に浮上した。
内容はどの試合も厳しいゲームばかりだったが、勝ちきって勝点を積めた。
この自身とやっとくる休養を挟んで1巡目最後まで走り切ればと思う。

ハイライト




スタッツ

スタッツ

スターティングメンバー

TACTICALista_202257942

前半


ヴェルディの先制パンチと骨格を殴る保持

堀さんがCovid-19から復帰したヴェルディはここ数戦使用していた4-4-2からシステムを変更
4-1-2-3にして、アンカーにベテラン加藤弘堅を起用。

このシステム変更が3分先制弾を生む。
このあとにヴェルディの保持をきっちりと書くが、ヴェルディは仙台がアンカーを用意すれば、アンカーのところで2トップがピン止めされCBがフリーになるのを知っていた。
また、IHがDH脇。高い位置を取るSHの後ろに配置。
そういう状態で、失点時は吉野が安易にアンカーに食いついたのでそのスペースをIHの森田に使われる。
そのまま、左サイドへ展開しクロスからあっさりと失点となった。

TACTICALista_202257946

失点のところもだいぶ論理的に殴られたわけだけど、徐々にヴェルディの対仙台の仕組みがあらわになってくる。

まずは、右SBの深澤を中に入れて3バック化。
これは、3バック化すると仙台の守備はSH1枚が最終ラインに圧をかけに行くのでSH裏が空く。
また、3枚のCBは全員蹴れるし運べる(エグい!)ので、仙台の守備意識があやふやな2トップは簡単に突破。そして、逆サイドのウイング展開。

TACTICALista_202257947

という感じでスペースを上手に使い仙台に接点を作らせない。
接点を作らせなければ仙台の良さは出ない。
それと、決して縦に無理に急ぐことはない。丁寧にスペースをみつけ展開していく。
なので、ボールを前進させるスピードはゆっくりだけれど、確実に丁寧にじわっと前進していく。

アンストラクチャーな状態になれば仙台は強い。ただ、そのアンストラクチャーな状態を作らせないように丁寧に丁寧にフットボールをしていた。

仙台の保持を巡る攻防

そんなわけで仙台は丁寧なボール運びを阻害する方法は見つからない。
なので、自陣に押し込まれるので、保持も自陣深くからスタートとなる。

この時に保持が昨日すればまだ、互角にやりあえたかもしれない。
ただ、それもさせてくれないヴェルディ。シンプルに強い。

ヴェルディは非保持は4-4-2で仙台に対してミラーを作り出す。
2CBに2枚で圧をかけ蹴らせて回収する。

TACTICALista_202257944

ということで、仙台は10分すぎから吉野を下げて3バックに移行。
ただし、ここも想定済みなヴェルディ。シームレスに4-4-1-1に変更。
そして、秋田戦と同じ状態を作り出し仙台を手詰まりにさせる。抜かり無いヴェルディ。

TACTICALista_202257945

ということで、保持でもうまくいかず手も足も出ないように見えたのだけれど…

チャンスはアンストラクチャー時にあり

アンストラクチャーになれば仙台は良さが出る。
ただし、相手のビルドアップは引っ掛けられない。奪えそうな横パスも無理な縦パスもない。
ただ、GKになって競り合いが発生した時にアンストラクチャーな状態になる。
そして、それで追いつく仙台。

GKのセカンドボールを広いカルドーゾへカルドーゾは力強さを発揮CBをフィジカルで振り切りペナ角進入からマイナスのクロス。皆川が合わせるもバーに弾かれるもののそれを名倉が押し込み力技で仙台が同点。

ということで、ゲーム自体は一方的なんだけれど、そういう一瞬を逃さない。理不尽ではある。
そして、この理不尽はある種強さを表現している

ということで、1-1の同点で前半を折り返す。

後半


2-4でのビルドアップと大外での起点で主導権を握る

一方的に殴られた。でも、同点という仙台は主導権を握るために修正を入れる。
保持する時間を長くするためにビルドアップのところを修正する。

まずは、吉野を下げずに2CBでビルドアップ。
その代わりにSBの位置を下げてビルドアップ隊に加え、2-4のビルドアップにする

TACTICALista_2022571029

こうすることでDHが前を向いた状態でボールを供給出来るようになり、スムーズに相手のギャップに進入出来る状態になったのだけれど、
こうなると、吉野の判断の遅さ。せっかく前を向いで貰ったのに次のパスを貰ったあと探しているケースが多くなる。

ということで、早めの中島投入となり、イニシアチブを握る。

そして、もうひとつ。CBがパスの出し所がなくなった時にロングボールを蹴る場所を明確にした。

TACTICALista_202257949

FWをサイドに流れさせてSBのところで蹴らせる事によって勝率を上げる。
また、SH-SBでセカンドボールを回収出来るので高くなる。
なにより、中央で失わなければ、アンカー経由されないのでプレスにいって奪い返す事も可能。

これが、仙台の接点を作る工夫であった。
ということで、仙台が主導権をハッキリと握った後半立ち上がりだったのだが、、、

新井で破壊される右サイド

ただ、問題は仙台の非保持。これは如何ともし難い。
保持は改善できた。ボールを捨てる時も相手にいい形で保持されないボールの手放し方も定義した。

なので、ヴェルディが自分たちの形で保持する時間は前半より少なくなった。
でも、ゼロにはできないし、ヴェルディの意図した保持に対して対抗策はなかった。
原崎さんのコメントを読むとそれでも、開幕戦の新潟戦のように強度で踏ん張れると考えたのかもしれない。

後半、新井が左ウイングに回った事により対面が加藤千尋になる。
そして、新井の早くて深い切り返しについていけない。(このあたり1発で飛び込むのはSBでの経験が少ないし仕方ないとは思う)
なので、そこからチャンスを作られる。
また、機器察知した平岡が対新井に引っ張りだされるので、中が空いてくる。
この2vs1で耐えようとする。

ベンチもそこは気がついて真瀬を投入しようとする。
ただ、この2vs1が破られて失点。再びヴェルディが勝ち越す。

壊れゆく仙台

しかし、後半の修正は的確で主導権を握っているのは仙台のはずだった。
なので、再び勝ち越されてもどうってこないはずだったのだけれど、

この失点により、仙台は早く同点にしたく急いで縦に縦に早く行きたい選手と
いつも通りやろうという選手に分かれてしまった。

その結果使うスペースの共有ができず中盤でパスミスが多発。
2列目までボールを預けることができない状態に陥る。

これを落ち着かせようと、鎌田と遠藤を投入するもこのチームのズレは治らない。
個人技でチャンスを作るもののあくまで個人技。チームとしては復活することはできなかった。

最後に新井からバスケスバイロンが押し込み1-3とされ試合終了。
ヴェルディに完敗となった。

最後に

まずは、堀さんが復帰。
そして、的確に弱点を狙われたゲームだった。
現状の仙台を丸裸にされてしまった。
そして、ピッチ上の選手もその堀さんの期待に答え焦らずにきちんと的確にボールを動かせたのが全てだった。

さて、仙台は完全にCBがボールを動かせる+アンカーというチームが弱点であるとわかってしまった。
これはJ2だとまーあまりやれるチームは少ないので誤魔化せるが、どうするかは考えないといけない。

それと、強度がひくいと原崎さんが試合後に語ったが、見直してみるとたしかに横の動きがおそすぎるのでケア出来そうななのにできてない部分があるような気がした。

特にDHに吉野を起用しているのだからそこは期待する部分ではある。
ただ、連戦だけれどローテーションしているので疲労から落ちたわけでもない。
ここをどう復活させていくかは課題だし、少し危険な部分なのかもしれないと感じている。

それと、最後に後半の修正は見事だった。
それだけに失点後のピッチ上の選手が分断したことは残念であった。
自信がまだ無く焦ってしまったんだと思う。このあたり失点しても自分たちのやるべきことを続けるようになればなーと思った。(小並感)

ま、何がともあれ次が5連戦の最後。
連敗だけはしないように頑張って欲しいし、勝って5連戦を終えようじゃないか。

ハイライト


↑このページのトップヘ