カテゴリ:Jリーグ > 大分トリニータ


スタッツ

スコア

スターティングメンバー

TACTICALista_202110242230

前半


制限が甘く前進されるので撤退守備

仙台は大分のビルドアップに対して4-4-2-0でセットしてビルドアップを阻害したい。
という立ち位置で対応する。


TACTICALista_202110242231

しかし、うまく行かない。
シャドウが落ちてきたときにどうするのか。というのが整理できてない。
なのでシャドウ経由で前に前進されてしまう。

TACTICALista_202110242231 (1)

これでリズムが狂ったのか本来背中で切っていないといけないパスコース。
例えばCBからWBのパス、CBからDHへのパスも切れなくなっていき、簡単に前進されてしまった。

なので、仙台は4-4-2の撤退守備が基本となる。
なんとか4-4-2で横スライドを懸命に行い綻びが出ないようにすることは出来たのだけれどれども、クリアが精一杯で中々攻撃転じる事が出来ない苦しい状況に陥った。

保持で準備したことが出来ない

そんなわけでボール保持する時間と回数が少ない仙台。
それでも、0ではない。というのも仙台が保持するのに対して大分はそこまで前で奪うという意思は見せない。ある程度は持たせても良い。という設計だった。

それなのにも関わらず仙台は保持も出来なかった。
この試合に準備したのは、赤崎が1列降りてDHをピン止め。
DHは最終ラインに降りずに4-2 でビルドアップ。

TACTICALista_202110242231 (2)

という感じでDHに出来るだけボールを集めてそこから展開しよう。
という設計だったように見える。
ただし、それが出来ない。いや、設計図は正しいし、ボランチへのパスコースも時間もあるのだけれど、下田が前に出てきたのが目に入ると怖がってDHにつけられず、
GKに下げてしまったり、前線に蹴り込んだりして準備した事が全く生かせない状況が続いてしまった。
TACTICALista_202110242231 (3)


この過剰な怖がり方、逃げてるボールの動かし方。これがまさに降格へのプレッシャーなのだろう。
中々にしんどい前半だった。
しかし、大分も仙台の4-4-2の撤退守備に苦労しほぼ決定機を作れず0-0で折り返した。
というのは、仙台にとって最大の吉報だったとは思う。

後半


後半での修正したことで反撃の雰囲気

最悪に近い形の前半だった。ただし、0-0ということで結果としては悪くない。ということでハーフタイムの修正にすべてがかかっていた。

修正は攻守に出来ていた。
非保持も前半曖昧だったところを消して前から強く行こうとしていき、背中を通される事もなくなった。
保持も怖がってDHに付けないところを解消し前半よりもDHに入る期間が増えてきて
ようやく、相手の自陣に入る事に成功した。
なので、後半はもっと仙台の良いところが出せるはずだったのだが。。。

前と後ろの意識のズレ

ところがだ、仙台は降りた下田からのロングボール1発で裏を取られ失点してしまう。
この時、ハーフタイムに前からもっと行こうと話してたはずであり、
実際前から行って最終ラインも前半より高くしていた。

しかし、この失点のシーン。前線の選手は下田に対してだれも行かずズルズルと下がってしまう。
それに対して最終ラインはベクトルが前でラインを下げる事はしなかった。
なので、裏を取られてしまった。
前と後ろの選手で意識のズレが起こりそれがきっかけでの失点だった。
非常に厳しい。
こういうところ、しかもハーフタイムで決めたはずの事がたった5分でズレるというのは
どう考えてもチーム状態が悪い。としか言いようが無いのである。

壊れ行くゲーム

スコアが動いたことで一気にゲームも動く。
勢いが出てきて前から圧をかける大分とそれに対してたじたじでボールを捨てるしかない仙台という構造になる。
残留争いの醍醐味。スコアでリードした方が勢いを持ち、負けてる方が沈んでいく。

そして、とどめはクバへのバックパスをクバが前線に蹴ったのだがその後に接触があり、
PK判定に。
このPK判定個人的には不満なのだけれども、
この試合バックパスしたら前から圧をかけると決めていた大分が前半からここまでサボらずにやったことがPKに繋がる。
それが、決めた事が出来ない、サボってしまうような仙台と対照的であった。

この2点でほぼほぼゲームオーバー。
混乱に陥る。ただし、給水タイムでいったん落ち着きを取り戻たが、
最後パワープレーをするときに3バックにしたのが大分とミラーにマッチになってしまい
むしろ攻め手を失う事になり2-0での敗戦となった。

最後に

完敗。勝利には値しない。いや、厳しいが勝負にもならない。そんなゲームだった。
仙台は準備してたはずの事が出来ず良いところなく敗れ去った。

この試合に準備していた事が出来ていたらなら、もう少し勝負が出来たはずなのだし、
柏戦の前半で出来ていたのだからこの試合でも出来るはずだった。
ところが、それができない。
出来なければ勝負にならない。
勝負にならなければ残留なんて争えない。
なんでできないのか。これが降格というプレッシャーだと思う。
意識しすぎているというか、怖がりすぎているというか。
悲壮感が強すぎる。一度、降格とか忘れて楽しもう。
そして、開き直ろう。ここでダジャレをぶっこもう。
そのくらいで丁度良いんだと思う。
今のチームは色んな事を背負いすぎている。

ハイライト



スタッツ

スタッツ

スターティングメンバー

TACTICALista_20215252034

前半


狙い通りの先制点

対大分戦ということで仙台は4-4の中央閉鎖での撤退戦を選択すると予想した。
そして、その意図がわかるのは両DHの選択。
上原と松下を外し、フォギーニョ+富田を選択。
川崎戦と同じコンビということで4-4のブロックを組んで中央閉鎖を意識したように思う。

そして、その狙い通りブロックからカウンターで前半5分に先制。
DHの下田とシャドウの町田のポジションが被ったところをフォギーニョがボールを狩りカウンターへ。
氣田の時間の作り方、そして、空いたスペースへの赤﨑の入り方。プレスバックとCBの足を止めるドリブルコースを選択。
そして、スルーパスに反応した西村が振り抜いた結果DFに当たってループ気味GKの頭を超えて先制。

これ以上ないゲームの入り方をしたのであった。
正直先制すれば勝てると思っていたのでこりゃもらったと思ったのだが、、、


定石で殴られる

ところがだ、想定通りに行かない。配置で殴られる。
これも想定外なのだけれども、仙台はなぜか先制点後に前から奪いに行って外されるシーンが多くなる。

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仙台の前プレスの仕組みだとどうしても、大外香川がフリーになる。
それでも大外フリーになるのはこの守り方の払うべきコストだと思うのだが問題はシャドウ。
香川のクロスにシャドウがフリーになってしまい決定機を連続して作られてしまう。
これはまずい。そして、それは前プレスの時に氣田と連動して石原がWBにいってしまうこと。
これでシャドウをカバーする人間がいなくなってしまう。
そして、11分にやはり香川のクロスから町田がフリー。ボレーはクバがビックセーブで防ぐも長沢が押し込み同点。
ところで、長沢さん古巣に強すぎませんか?

4-4の中央閉鎖、攻略の定石大外から逆サイドへ持って行くという配置で殴られる。これは想定外。
大分も去年のアウェイでやった時に無かった対角パスがある。というのは大分の成長なので何も言うつもりもないけど、
それに対して仙台が大外とインサイドの優先度を決め切れてなくて、インサイドに穴が空くのは良くない。非常に良くない。
そのくらいは整理出来ていると思っていたので非常にガックリと来た失点だった。

なお、対角パスが飛んでくるのは大分の右サイド香川のみ。
左サイドの松本は対角パスが出せないようで左サイドは同サイドアタックで数的有利を活かしクロスまで持って行く展開が多かった。

TACTICALista_20215252034 (2)

ただ、この時サイドで数的有利を作るので長沢も左のインサイドまで流れるケースが多く、クロスを上げても渡辺or香川しかいない。
そして、仙台のSBは照山を使っていて本職CB。
なので、左からのクロスはほぼ安定して跳ね返す事が出来た。それは心強かったとは思う。


縦指向は意図的なのか?


そんなこんなでもう少し楽な展開で勝てると思っていたのが10分で振り出しに戻された仙台。
前半は保持も問題点ががあった。

大分は守備時前で奪うため5-2-3で前プレスをかけてくる。

それに対して仙台は息をつける場所が見当たらない。なので、保持局面をほとんど作れずトランジションで縦縦で殴るしかなくなっていた。
ただし、手倉森仙台は去年のように縦指向のチームか。と問われればNo.と返事する。
トランジションで殴りたくなくて、本来は3バックに可変して保持から秩序を保って戦うチームだ。
なので、この日の前半の姿は理想的じゃない。
ただし、大分の3トップの前プレスに対して可変する時間も与えられない。(3トップに対して3バックで数を合わせる無意味だけれど)
また、DHが富田とフォギーニョと上原や松下が不在でリズムの変化もつけれないので
仙台は持てば縦へ。という攻撃しかできない前半だった。

ただし、皮肉にもこの縦しかいけないこと。そして、縦指向は今の仙台のやりたい事じゃないので、
ほとんど大分陣地にボールを持っていけず仙台は押し込まれた。
ただ、この押し込まれた事で逆転されなかったとも言える。
中途半端に大分陣地に運べるとその後奪われてカウンターを食らう。
まさに1失点の時がそうだったように、氣田が運んで袋小路。奪われてあとカウンター。
そうするとSBの戻りが遅れてシャドウがフリーになって、、、という感じで同じ構造で失点してた可能性もある。
自陣脱出できない事は不幸中の幸いだった。
そして、そんなこんなでで1-1。同点で折り返せたことも仙台としては良かったと思う。

#ようするに、仙台追加点を許さなかったのは自分たちが修正したからじゃない。というお話。


後半


普段通りに戻りボールを取り上げる。

仙台は後半いつもの姿に戻り縦指向を止める。
上原役をフォギーニョにやらせて、フォギーニョが落ちて3-1-4-2の形で保持する。
最初、なぜビルドアップ隊を数的同数にするんだよ!と突っ込んだものの上手くいったからいいのである。
この辺りはたぶん、大分の嵌め方があまり良くないのだとおもう。

また、照山から真瀬に変わったことで、SBが外、SHが中とハッキリとしたのもいつもの通りに戻った要因である。
照山の中絞りは守備時には良いんだけど保持時には効果的では無く時間が作れない要因のひとつになっていた。
そこを真瀬に代える事で大外タスクをSB、インサイドタスクをSHとハッキリとタスク分けが出来た。
そして、そのインサイドタスクのSHがDH脇に入ってそこで時間を作って殴っていく。

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こうすることで、大分からボールを取り上げる事には成功した仙台。
概ね後半仙台ペースでゲームは進む。


勝ち越し点は普段通りの延長上。そして、加藤。

65分に氣田に代えて加藤を投入した。
この人の入れ替えでさらに仙台ペースになる。
加藤を入れた事によって氣田よりボランチ脇で時間を作れる。氣田はボランチ脇で受けても前を向いて仕掛けてしまうの時間は作れない。
もちろん、仕掛けたほうが怖い時もある。ただし、この大分撤退時の守備はあまり良くない。
なので、ゆっくり時間を作りながら攻めたほうが効果的であり、そういう意味で加藤が時間を作るのは急所であった。

そして、やはり得点もその加藤のボランチ脇で受け時間を作ったところからゴールが生まれた。
さらに、おまけで氣田より空中戦強い加藤。右からのクロスにドンピシャで合わせられる。
これが追加点のお話。
後半の狙い通りの得点で仙台が勝ち越しに成功する


死闘

ここからが死闘だった。大分は直後から綺麗な配置アタックを止めて長沢目掛けて雑に蹴り込んでくる。
これに仙台が必死に対応。

最初に石原と長沢が競ったところで接触。長沢が鼻血が出る。(多分折れてるはず)
さらに、大分は高さが重要とばかりに高澤を投入し高さを足す。

仙台はこれに対応してアピアタウィアを投入。5バックにして1点を守り切る姿勢を見せる。

しかし、長沢は高い。どうしても守れないがクバがビックセーブを連発しゴールを割らせない。
平岡も高澤と激しいぶつかり合いで頭部から出血。それでも気合と根性でピッチに戻る。

最後のロングボールを平岡がクリアしたところで試合終了。
仙台が2-1で激戦を制し2勝目を挙げた。

なお、最後クリアした平岡が直後倒れ担架で運ばれる。それほど最後の肉弾戦は激しく見ごたえのあるものであった。
まさに死闘であった。


最後に

最後の15分間はまさか大分仙台というカードここまでフィジカル勝負になるとは思わなかった。
ただ、この15分間選手は良く戦ってくれたと思う。
また、声は出ないものののこの日サポーターの力でホームカラーで染められたユアテックスタジアムはコロナ前の一体感ある雰囲気を作り出せた事が
この勝利を引き寄せたのでは無いかと思う。

サポーターは所詮サポーターであり試合の結果にほとんど影響なんてしない。
ただし、あのサポーター力でホームカラーで染められたユアテックスタジアムを見たら選手はサボれないよね。と
平岡のようにオールアウトした背景の要因の1つだったはずである。
そして、オールアウトしなかったらこの勝利は無かった。
ようやく、手倉森誠を旗印にコロナ禍で一丸で戦い方がわかってきた仙台だった。

ただし、内容を振り返るとそこまでポジティブではない。
4-4に対して定石の攻めで「てんやわんや」になる脆さがある。
これは改善しないといけない。このほかにもこのチームはまだまだやるべきことは多い。
それを認識したゲームであったのも事実だった。


ハイライト



スタッツ

スタッツ

スターティングメンバー

TACTICALista_2020121207

前半


電光石火の先制点

キックオフから17秒での電光石火での先制点だった。
この日の仙台はシステムを大分と同じ3-4-2-1のミラーにして、WBの裏を蜂須賀で取ってクロス。
それを逆サイドの石原が詰めて先制点だった。
このWBで裏を取る形はこの得点の直後にも見せていて仙台の狙いだった。
と思うのだが、実はその形はこの2回だけなので、どうなのだろうか。

とにかくこの先制点はボールを持たなくても良くなった。
という意味でも仙台に大きなアドバンテージになったと思う。

仙台の前プレスが嵌らない理由

そんな、さっくり先制した仙台だけれども、ボール非保持は結構苦労していた。

島川が最終ラインに落ちて4バック化する大分に対して仙台はいつも通りの外を切るプレスでボールを奪いに行く。

TACTICALista_2020121207 (1)

ただ、この時にシャドウがボランチ脇まで降りてきて、そこにボールを付けられ攻撃の起点とされていた。
内に誘導しているにも関わらず内側の受け手を捕まえられていないという切ない現象が発生。
なので、仙台は大分を嵌められなかった。

しかし、決定機が作られたわけじゃない。
シャドウに入ったところから、パスでしか展開できないのがその理由。
前のパスコースはマンツーマンですべて捕まっていて前進出来なかった。
フリーのSBに渡されたら攻撃が遅れるので5-4-1で撤退する時間があった。

ここで、ドリブルで縦に運ばれたらきつかったが、ドリブルという選択は最後まで無かったので仙台とは怖くなかったと思う。

覚悟の5-4-1へ移行

前プレスが嵌らない仙台は、先制しているので無理する必要は無く、ひたすらに負け筋を消していけばよかったので、
給水後、内側への誘導前プレスを止めて5-4-1で撤退する時間が増える。

TACTICALista_2020121208

大分のシャドウが使うボランチ脇のスペースを仙台のシャドウが先に消して、縦に入れさせない。
前プレスはSBに入った時に行く程度に減らし縦に入れさせない事を優先させた。
この状態で無理に縦にパスを入れれば仙台の守備網に引っかかり仙台のカウンターが発動する。
なので、保持している大分は前に進めず最終ラインでのパス回しが増える。

また、この日は仙台が5-4での守備だったから苦手な横スライドが普段より簡単であったため、
横に振られても対応できた。
ということで、大分はボールは保持すれど、仙台のゴールに近づけない前半となった。

後半


ボランチのスライドで修正

さて、後半は仙台が修正。
俺たちは前から行きたい!という意思を見せるために前プレス時のボランチの動きを修正した。

TACTICALista_2020121209

前半と同じようにシャドウが外を切って内側に誘導する前プレス。
これと連動しボランチがボールサイドにスライドしてシャドウを捕まえる。
ということで、縦に誘導し誘導先でようやくボールを奪える事に成功し、完全に仙台ペースになるかと思われたが、、、

シャドウの変化で押し込む大分

大分も60分くらいに修正。
シャドウをボランチ脇じゃなくてWB前に持ってくる。

TACTICALista_20201212010

これで、石原と蜂須賀の両WBをピン止めして、大分の松本、田中がフリーな状態を作る。
松本、田中に仙台のシャドウが出ていくと三竿、岩田がフリーになりそこから前進される。

ようするに、仙台は大分のWBとCBを両方をシャドウ1枚で防がないといけない
という状況を作り出す大分。
これを防ぐ方法が無い仙台。
大分は空いた方から前進し仙台を押し込んでいく。
ただ、押し込んだ大分は結局はサイドからクロスしか攻略法が無く、それをすべて跳ね返す仙台の最終ラインという形に。

今日は中央にシマオが居るため単純なクロスでは最終ラインは崩れずひたすらにクロスを跳ね返す。

我慢比べからのセットプレーで勝負あり

攻める大分、守る仙台の我慢比べが続く。
そして、焦れた方が負けるというゲーム。
結論から言うと焦れたのは大分だった。

5-4で撤退する仙台に対して鈴木が最終ラインから少し雑なロングボールを入れる。
これを照山が悠々とカットしカウンターへ。
クエンカに代わって入った関口は最初は縦に仕掛けるが、
カウンターできないと判断しキープから一度落ち着かせ、
2次攻撃へ繋げる。
保持の形になった仙台は松下のパスからトラップで一枚外した山田がフィニッシュまで持って行く。
そして、そのフィニッシュで得たCKを自ら大分ゴールに沈め決定機な2点目を生みだした。

その後は2点差になった事で大分は前がかかりでバランスを崩し、
攻めるが雑になっていった大分は仙台の5バックを破壊するクオリティは無く、
このまま2-0の勝利となった。

最後に

完勝!!
そして、木山さんになってから僕のイメージする木山さんらしい勝ち方がようやく出来た試合だった。

ここまでは、自分のチームが主語でどうアクションしていくか。が中心だったけど、
今日は相手チームが主語でそれにどうリアクションしていくかが中心で、
木山さんは後者の方に長けていると思っている。

保持率も73対27と圧倒的に保持されたけれど、決定機は仙台の方が多かった。
ようるすに、保持は飾りだということだ。
大事なのはゴールに近づくこと。
パスを何本も成功させてもゴールに近づけない事もあるし、
一本のパスでゴールに近づけることもある。
それを体現したゲームだった。

大分は去年から撤退されると苦労し終盤中々勝てなかった。
そんな中で今年、前プレスの嵌め方がかなり良くなって、相手陣内でボールを奪っての得点。というシーンで撤退されても奪い返すことで活路を見出した。
ということで、木山さんは、だったら保持なんてしないよ。と潔くボールを蹴り込み、
前プレスも諦め5-4-1で撤退して大分の苦手なブロックの崩しを強制し、去年の勝てない大分の状況を再現させたのは見事。

ま、でも、これは17秒での先制ゴールがあったからこそ選択できたのかもしれない。
もし、あれがなかったら同じ事が出来たのかは不明だし、
後半押し込まれたところでの我慢比べのアドバンテージもなかった。

なので、やはり先制点はこの試合かなり大きなポイントだったと思う。

仙台はこの勝ち方をベースにしていきたい。と思うが
やはり、点をどう取るかが課題となってくるのだろう。
何度も言うがこの日は早々に点を取れたのでこの課題は解決できたが、いつもこういう風には行かない。

攻撃回数は多くない中でどう点を取るか。これを解決出来れば来年は問題ないと思うが、、、
果たしてそれを出来るか。ですね。

ま、兎に角今年は残り2戦ということで、しかも、残りは6ポイントマッチの清水、湘南。
ここを連勝すれば最下位は脱出できるだろうから、必ずこの調子で2連勝して
形だけだけれども残留圏で20年シーズンを終えれば悪くはないんじゃないかなと思える。
残り2試合。兎に角頑張ろうじゃないか!

ハイライト



スタッツ

スタッツ

スターティングメンバー

TACTICALista_2020916221

前半


嵌らない守備、混乱する右サイド

簡単に言えば準備不足であった。
仙台は大分に対して準備が出来なかった。
その結果、横パスだけで仙台の守備は崩れていった。
TACTICALista_20209162036

GKのムンが入って3バック化する大分。
三竿がSB化し、香川が一列上げる。ここで仙台の右サイドが3vs1 でジャーメインが誰に対応していいかわからなくなる。
さらに柳がWBの香川に対して出ていくこともあったが、そうすると町田が浮いて柳の裏を取られる。
これで、再三再四右サイドからえぐられる。

守れないのなら4-5-1で撤退して前半耐える。という方法も選択肢にはあったとは思う。
ただし、怪我明けで万全では無く稼働時間に制限があるジャーメインを使っているので
それはしたくなかったのだろうと推測。
後ろに撤退するならジャーメインじゃなくて良いわけだから。
なので、出来るだけジャーメインを前に置きたいというチームの意図があってこうなった。
これは給水挟んでも修正出来ず。
そして、34分。町田が裏に抜け、マイナスの折り返しに三平が合わせ先制。

なんの抵抗も出来ないままゲームを動かされてしまった。

関口入れて整理する

このまま2失点すると、マジでゲームが終わってしまうのでそれは出来ない。
ということで、きっと後半圧を掛けるために残して置きたかった関口を投入。
ジャーメインが変わったが、確かにジャーメインが混乱していた。
だから、変えたわけじゃなくて、単に稼働時間に制限があって、早いタイミングで変えなきゃいけなかったらジャーメイン。
という感じだと思う。たぶん。

関口が入るとかなり整理出来て、別チームに生まれ変わった。
TACTICALista_2020916210

右サイドに回ったゲデスが三竿固定。
関口が周りのバランスを見て落ちてくる羽田or鈴木に圧をかける。(ここの判断と味方との調整能力は凄かった)
そして、柳も前に出て香川を見る。
これで、人基準で選手を捕まえ、ようやく仙台が勝負できる土台に乗った。
そんなところで、前半終了となった

後半


4-3-3での反撃

やられっぱなしだった前半。関口が入りある程度持ち直した。
そして、ハーフタイムに対策を入れて仙台が逆襲に転じる。

TACTICALista_20209162117

4-3-3に変更し、前の形を合わせ人基準で嵌めていく。
大分は仙台のプレスに対して逃れられる待避所が作れず、個人でも剥がせないので
ビルドアップが出来なくなり仙台が決定機を作り始めた。
この後半でようやく仙台の勝ち筋が見えてくる。
この時間は素晴らしかったと思う。
得点が無かったこと以外は…

3-1-4-2にも対応できる

待避所が作れず、圧力を全面で受ける大分。
ここで、島川を入れて3-1-4-2に変更。
アンカーを作って待避所を作ろうとする。

TACTICALista_20209162144

しかし、関口がそれに対応。
兵藤と関口が上手く連携し中盤1-2の形から時に2-1にして時間を作らせなかった。

TACTICALista_20209162146

多分ピッチ内の選手で対応したと思う。
そして、前半はピッチ内での修正が出来なかったので、兵藤と関口のベテラン組の判断なのだろうけど
これには驚いた。本当に驚いた。見直しててめっちゃ驚いた。(しつこい)
本当に息をするように対応して、流れを渡さなかった。
これ、たった3行で書いてるけど凄くて、
これが今後も出来るのならこのチームは期待していいと思う。
前半からこれが出来れば未来が違ったが…

取り切れない悲しさ、突き放される虚しさ

仙台のターンで決定機は数回作れた。それでもゴールは揺らせない。
そこが仙台のもう一つの課題。
良い時に取れればこの状態でも勝ちを期待できるが、そうじゃないから辛い。
チーム状態がとても悪くやっと流れを持ってきてもゴールが生まれない。
となると、どうしても勝ち点は取れない。
この試合でもそうだった。

そして、後半の飲水タイム後、大分は自陣でのビルドアップを諦め仙台のDFラインの裏にシンプルに蹴り込むようになる。
これが仙台には効いた。
シマオ、ジョンヤのCBだと裏に蹴られる対応が上手くなく、非常に嫌っていて有効であった。
これで流れを失い、80分に裏にロングボール蹴られ、それに対応したシマオが知念に吹っ飛ばされ失点。
これで、事実上のゲームオーバー。最後、84分に田中にトドメを刺され3失点の敗戦となった。

最後に

状況が悪いので前半もう少し勝負できる状態を作りたかった。
それが出来なかった時点でこのゲームの結果は決まってしまったのかもしれない。
じゃ、なんであんな前半になってしまったかというと、明らかに準備不足。
大分はいつも通りだったので、それに対応する準備が出来なかっただけである。
後半は修正出来たので時間があれば対応出来たのであろう。

でも、その時間が無かった。中3日。
チームの大半が怪我明けでコンディションを整えるだけで精一杯。
戦術的なすり合わせ、練習は出来なかったのでは無いか。
そうするとこの前半の内容は納得がいく。(いや、いかないけど)

本当に酷い前半だった。
ただし、後半給水タイムまでは希望でコンディションが良く準備ができればあれくらい出来るという事実はあったと思う。それが希望。

ただ、それが出来ても次に決め切れなければ仕方ないね。
という課題もあるのだが…
兎に角、今は辛抱。報道によると怪我人も戻ってきてるので、彼らが戻ってくれば…と辛抱するしかないと思う。
精神的にもキツイと思うがここで焦れてチームが壊れたら何の意味もない。
それは、ベガルタ仙台に関わる全員に言える事なのだ。
今はただただ耐えろ。

ハイライト



スターティングメンバー

スタメン

前半


撤退守備を整理する

大分に対する勝ち筋を整理した時に何よりも撤退する事だった。
大分の特徴は後ろで回して食いついてきたところを疑似カウンターで仕留めるというのが特徴。ならば、食いつかずペナ中を埋めてしまえばよい。
押し込まれ大分のゴール前でのセットプレー、CKが増えても大分はセットプレーから2点しかとれていない(しかも前々節のガンバ戦での2点)なので、怖くない。
なので、ベタ引きでも構わない。それくらい仙台は割り切ってゲームに入った。

大分はメインで使用していた3-4-2-1では無く、3-1-4-2にしてきた。
仙台としては想定外だったとは思う。何しろスタートから3-1-4-2にするのは18節のマリノス戦以来15節ぶり。

それでも、仙台は最初からやる事を整理できていた。この辺りは対3-1-4-2は2試合連続
ということも大きかったかもしれない。
また、石原が先発ということで、ハモンより戦術的に動きやすかった。ということもある。
3-1-4-2にきちんと対応出来ていて守備時は4-4-1-1で対応。
石原がひたすらにアンカー長谷川についてパスコースを消す。
そして、SHは左右CBが持ち運ぶエリアを消しながらWBも見る。
三平+IHは2DHで見て1トップに残るオナイウにはシマオが見る。
こんな形で撤退守備をする。

仙台の守備

また、たとえWBが大外侵入してSBが引っ張られてもDHが下がってSB-CB間を埋めるので
大分としては持てるが結局、大外からクロスしかなかった。

DHのカバー

それを余裕を持って跳ね返す仙台。という構図になった。なお、大分があこの仙台を崩すのは13分のサイドチェンジを2回実行からのクロスのみ。
それ以外は仙台がストラクチャーな局面を作り続けた。ようするに、大分が仙台を崩しには
2回連続でサイドチェンジをしないといけなかったがそれはこの13分の場面1度だけだった。

満を持しての前プレスからの先制点

さて、失点はしない。でも、得点するにはこのままではいけない。
そして、仙台の哲学として、戦略とは言えベタ引きでもいけない。やはり、前から嵌めたい
というのはあって、それが、20分過ぎから前プレスで大分を嵌めに行く。
嵌め方はガンバ戦と同じだったが、アンカー見るのがハモンでは無く石原で守備強度が上がったので、より強力なものになっていて、ガンバ戦では遠藤が空く場面があったがこの試合ではそれが皆無であった。

前プレス

嵌められたのは2度。
22分の羽田から道渕が奪ってカウンター。これはパスがつながらず不発に終わる。
25分の岩田のパスを関口が引っ掛けて永戸が拾ったところ。
この25分の場面は決定機まで行くが最後にシュートブロックされCKへ。
そして、このCKでトリックプレーから道渕のボレーで仙台が先制する。
嵌めるところで嵌めて一発で取った。
理想的な展開だった。

変わりゆく大分のビルドアップ

さて大分を前で嵌めてショートカウンターから先制点をとった仙台がゲームを優位に進めると思ったがそうはいかなかった

大分は変則2バック+ボールサイド側のCBがSB化する。

ビルドアップ2

結果、SHがSBにピン止め。2枚のCBで展開されてしまい仙台の前プレスが有効な時間が終わった。
なお、仙台としては大分がどれだけ多くのビルドアップバリエーションを持とうとも
結果、撤退して中央を埋めてしまえば怖い事は無かった。

後半


前半と違うビルドアップ

仙台が1点リードで後半戦へ。
大分はビルドアップの形をさらに変える。前半より多く小塚が下がって長谷川との2DHを形成する事が多くなる。
そして、小塚からボールを運ぶ事で仙台を押し込むがやはり、最後のところを攻略出来ず
大外からクロスでしか仙台のペナにボールを運ぶ事が出来ない。

3

この時間最大の決定機はオナイウがシマオを個人技で外しクロスを上げた48分の場面。
この場面を大分が外した事で勝負は決まったかもしれない。

IHのところで奪う仙台と追加点

押し込まれる仙台だったが、小塚から運ぶなら4-4-1-1で石原でIHで見る形に変更。

仙台の修正

そして、小塚から石原が奪ってロングカウンターというのが2度。
60分の大分のCKのセカンドを拾った小塚に対して石原が圧力をかけて奪った形。
そして、61分の追加点に繋がった形。両方とも小塚から石原がボールを奪ったものであった。

仙台は2点とも狙い通り。
相手を見て修正し、奪って速いカウンターからだった。
相当気持ちの良いゲームである。

ミシャ式に対する仙台の守備

さて、この失点で大分は小林を投入。
3-4-2-1に変更。そして、小塚が下がって4-3-3の可変フォーメーションに。
それに対して仙台は2枚のFWで中央閉鎖。

中央閉鎖

この石原と長沢のアンカー番しながらCBに圧力を与えてサイド誘導する動きが美しく完璧だったので見てほしい。
最後まで大分は中央を使えずサイドにしかいけない。
サイドからはクロス。それに対しては余裕をもって仙台が跳ね返す。
最後までこのループで決定機を作れず試合終了のホイッスルを聞くことになった。

最後に

完璧。完勝。ホームだとこんなに強いのか。決して4-4-2の守備がバグることなく
ストラクチャーな状態を保ち続け、大分に中央を使わせずサイドで詰まらせる。
バグったのはDAZNのみだった。

仙台の守備は1年で大きく成長した。去年まで5バックで人海戦術しかなく、前プレスは人基準で外され死んでいたのとは大きく違う。こうやって場所基準にもなってきている。
そして、回数は少ないが前から嵌めることだって出来るようになった。
ホーム最終戦でその集大成を見せる事に成功した。
監督のインタビューの話は前回触れたので、今回はパス。最終戦後今シーズンの総括で触れたいとは思う。
とにかく、この試合は戦略的にも選手のパフォーマンスも結果も素晴らしいものだった。
それは誰もが認める事であり。開幕の状態からここまで状態を上げたので満足しないと。
だと思う。

とにかく残留も自らの手でつかみ取った。そして、いよいよ最終戦。今年勝ち点10しかとれてないアウェイである。
来年へ繋ぐ戦いを。なんて言わない。とにかく勝ってくれ。
アウェイ4勝目を何としても勝ち取ってほしい。

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