- 1.スターティングメンバー
- 2.前半
- 2-1.大分の仕組み
- 2-2.仙台の対抗策
- 2-3.大分のチャンス
- 3.後半
- 3-1.安い失点と継続する対抗策
- 3-2.プランの弱点
- 3-3.失点は何が起こっていたのか
- 4.まとめ
■ 目次
スターティングメンバー
前半
大分の仕組み
まずは大分の仕組みから。(プレビューでやれ。という話ですが)大分の特徴はGKの高木のフィールドプレイヤー化である。
このように、高木が一列上がって4バック化する。
ここで相手が数的同数のプレスをかけると後ろの枚数が足りなくなり、カウンターのような状態を作り出す事が出来る。
基本的には右から運ぶ。 左は星がハーフスペースに入って、右からのクロスに対して
ファーサイドに入る。
藤本が中央。三平が遅れて入ることで、トライアングルを作る。
これが、大分の今年の特徴である。
また、去年より明らかに疑似カウンターが多い。そして、藤本が輝く。
去年J2にて12点だった藤本がすでに半分の6点をとっている。
この数字も疑似カウンターの回数が増えている事を示している気がする。
また、ボール保持に拘らず自陣に引きこもった山雅に負けているのも特徴的である。
仙台の対抗策
さて、そんな大分に対して仙台はどう戦うか。勝ち筋としては、山雅のように5バックで撤退するのが一番可能性あるのかな。と思っていたが、監督が選んだのは前プレス+マンツーマンの複合守備だった。
問題は前の5vs6 の数的不利のプレスに対してどうやって嵌めるか。
なのだが、そこはきちんと大分の特徴を整理出来ており戦略的には正しく嵌めていたと思う。
大分は、上記で説明した通り右からの展開が多い。それは、福森と岩田の差。
そして、星の特徴から右に偏る。
星はあまり大外でのタスクをこなすプレイヤーではなく、
ハーフスペースや中でタスクをこなす事が多い選手であること選手
そして、福森が運ぶドリブルを実装していないためだと考える。
なので、そこを考慮し仙台は福森サイドへのプレスを弱め、岩田サイドへのプレス強度を強く出る。
上記のような感じで福森の方をそこまで圧力かけず、岩田サイドの方へ圧力高めに前プレスをかける。
これは、効果はかなりあったと思う。
大分はボールを進めるのに苦労していた。
ただ、仙台の前プレスは対人の意識は強めであり、また前プレスの仕方は整理されていなかった。
なので、アドリブ志向が強く、あまり再現性は無い。
なので、前プレス隊はスプリントをかなり多く強いる事になってしまったのは残念だった。
大分のチャンス
大分のチャンスは岩田が上がった時に生まれる。岩田が上がり3vs2 で数的有利を作ったら、ペナ角攻略を試みる。
この形がほとんどで、仙台は対抗策が無い様に見えた。
ただし、仙台の対抗策がハマり撤退する機会は多くなかったのでそこまで問題にならなかったのは良かったところだった。
さて、こんな感じで仙台が若干優勢にゲームを進める物の仙台も明確な決定機があったわけではない。
43分を除いてはで、あの大分のミスから生まれた43分の決定機を決め切れなかった事がこの試合の行方を決めてしまったのだと思う。
後半
安い失点と継続する対抗策
仙台は前半ある程度戦力がハマりゲームを優位に進める物の決定的な違いを生み出さない仙台。
後半の立ち上がりも前半と同様のプランを実行。
しかし、兵藤がターンしたところを岩田に奪われカウンター。
松本のクロスはクリア出来るように見えたが常田が痛恨のクリアミス。
それを岩田に奪われ失点となってしまった。
43分の決定機決められなかったこと。そして、後半立ち上がり46分に起きた失点に直結するエラー。
この2つのプレイタイム約5分に起こった出来事がこのゲームの行方を決めた。
また、前半30分過ぎから大分は3-1-4-2に変更しているが、仙台のプランを弱める効果はなかったと思う。
仙台がやることは変わらずだった。
大分のシステム変更にも動じない仙台はやはり素晴らしかったと思うのだ。
プランの弱点
戦略的には正しい仙台だったが実現する方法論がよろしくなかった。前半も書いた通り前プレス隊はスプリント回数がかなり多くなる方法で実現していた。
なので、65分以降にプレスの強度が落ちラインが間延びしてしまう。
なので、徐々にプランの効果が薄れてきてしまい、仙台の立てた戦略が実行できなくなってしまう。
また、前プレス隊は選手交代で強度を補おうとするが、
残念ながら補うどころか交代する度に仙台がチームとして動けなくなり崩壊していく姿は
見ていてとても切なかった。
失点は何が起こっていたのか
さて、失点の場面である。あの場面だが、前プレスの強度が落ちていた事もあるのだが、それ以外に色々な要素が悪い方向に出てしまったので整理しておきたい。
まずは、石原直が入ったことでハモンが右サイドになっていた。
今までジャーメインは中央に残って大外の福森まではプレスをかけなかったが、ハモンは
大外までプレスをかけに行ってしまった。
このことで仙台の前プレスの基準が崩壊していた。
さらに、大分は三平からオナイウに変わったこと。そして、オナイウが常田とマッチアップし、常田に負けず起点を作れた事。
さらに、捨てていた大分の左サイドからボールを前進されてしまった事。
が重なり失点に繋がったのだと思う。
ただ、やっぱり、ジャーメインがいなくなった事で仙台のプレス基準が無くなってしまったのが一番大きいのかなと思うのである。
最後に
ラスト20分チームが崩壊し、戦略を実行できなくなりバラバラになっていく姿をただただ見るだけになってしまったゲームになったのでイメージはかなり悪いと思う。しかし、きちんと紐解いていくと
仙台は大分をしっかり分析し、出来る限りの手を打ったと僕は思っている。
ただし、実現する方法論はもう少し整理するべきだった。
言うのは簡単なのはわかっているが。
ただ、何度も言うが戦略は正しいのである。
せめて、選手交代で出てくる選手が戦術を理解し継続出来れば
もう少し戦えたかもしれない。
ただ、そこは19年用の計画は5節で一度壊れ、
6節から再スタートを切ったチームなので仕方ない面はあるのだと思う。
しかし、感触といては良い。だいぶ整理出来てきたと思う。平岡もこの試合かなり整理出来ていてハーフスペースでボールケースがかなり多くなっていたのは面白い現象だったと思う。
仙台としてはまだ時間がかかる。課題もたくさんある。しかも、時間も限られている。
まだまだ、危険水域にいる。
しかし、間違いなく良い方向に、正しい方向に進んでいる
それは実感できるゲームでもあったとは思う。
また、結果的には若者のエラーで勝ち点を落としたわけだがそれは未来への投資である。
僕は何も気にしていない。
それよりも、この道を信じて行くことの方が重要なんだと思う。